勝負の10年目も…開幕一軍ならず
待ちに待ったプロ野球がいよいよ開幕した。新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、季節外れの球春到来となってしまったが、待ち焦がれた分、選手をはじめとする球界関係者やファンの熱量は例年以上に高まっている。
そんな中、開幕前日となる18日に、開幕一軍の選手登録が公示されたが、そこにあの男の名前がなかった。今年10年目のシーズンを迎える日本ハムの斎藤佑樹だ。ここ2年間は一軍で勝利すら挙げることができていないのだから、当然と言えば当然かもしれない。
しかし、2019年は復調の兆しを見せていた。オープン戦から好調で開幕一軍入りすると、開幕戦にもリリーフで登板。1イニングを無失点で抑え、チームの逆転勝利につなげた。その後もプロで生き残るために、与えられたポジションで必死にもがき続けた。
その甲斐あってオフには契約を更改。年末には結婚も発表し、将来を誓った伴侶とともに歩む初のシーズンとなる2020年。今季にかける思いは人一倍強かったはずだが、開幕一軍とはならなかった。
右肩の故障以降、成績が低迷
アマチュア時代の実績は華々しかった。早稲田実業3年時となる2006年の夏、甲子園決勝で田中将大(現ヤンキース)擁する駒大苫小牧と、延長15回再試合の死闘の末に優勝。早稲田大学進学後も、東京六大学で史上6人目となる30勝&300奪三振を達成した。
プロ入り後も、ルーキーイヤーの2011年に先発ローテーションの一角として6勝6敗、防御率2.69をマーク。2年目には開幕投手を務め、初完投勝利を飾るなど、期待に違わぬ活躍で、名実ともにエースとなるべく、その道を着実に歩んでいくように見えた。
ところが、そのオフに右肩の関節唇を損傷していることが発覚。手術には至らなかったが、以後、成績が振るわない厳しいシーズンが続き、気づけばプロ10年目に突入してしまった。
改めて年度別成績を見てみると、やはり怪我をした2013年以降、投球回は2015年の42イニングが最多で、防御率も4を下回ることがなく、不安定な投球が続いていることがわかる。
ただ、未だ苦しい投球を続けているのは確かだが、昨年は一筋の光明となりうる成績も残していた。WHIPと被打率で、キャリアハイとなる数字を記録しており、以前と比べ出塁を許さない投球ができていたのだ。
再び一軍の舞台で輝くために
昨季のストレートの最高球速は143キロと、全盛期のような力で押す投球は期待できない。だが、持ち味の投球術を武器に、多彩な変化球を駆使したクレバーな投球は、まだ十分に一軍でも通用するだろう。前述のWHIPと被打率の改善がそのことを示している。このオフには緩急をつけるため、カーブの再習得に取り組むなど、己の投球スタイルに磨きをかけていた。
開幕前、久々の実戦登板となった6月4日のロッテとの練習試合では、4回から2番手として登板。4回は制球に苦しみ1点を失ったが、5回はロッテの主力である、藤岡裕大、荻野貴司、角中勝也を3者凡退に打ち取っていた。
また、コロナ禍の影響で異例の日程となったことも、斎藤にとっては追い風だろう。例年とは違い、6連戦が続く過密日程。投手陣の負担を分散させるためにも、投手の枚数はいくらでもほしいからだ。
特に、今季の日本ハムは投手陣の運用に苦労することが予想される。その証拠に、早くも開幕2戦目に、昨年ショートスターターとして活躍した加藤貴之が登板予定だ。今年もこの戦術を駆使して、先発ローテーションの穴埋めを図ることになる。いずれ斎藤にも登板機会が巡ってくるだろう。
今季もショートスターターやロングリリーフでの起用が主になりそうだが、一軍の舞台で斎藤佑樹を見たいファンはまだまだ多いはずだ。今年こそ、老獪さを増した大人のピッチングで、プロの打者たちをきりきり舞いさせる姿を見せてほしい。
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