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川相昌弘氏に木村拓也氏、今季はロッテ・鳥谷敬も 背番号「0」と「00」はユーティリティープレーヤーの宝庫

2020 4/8 06:00青木スラッガー
今季からロッテで背番号「00」となった鳥谷敬Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

背番号「0」と「00」が持つ意味とは?

背番号の中には、選手のプレースタイルや役割を象徴していたり、球団の歴史において特別な意味を持っていたりするものがある。

例えばイチロー氏の「51」は俊足巧打の左打者、松井秀喜氏の「55」は左の長距離砲というのが両選手の活躍により定着した。「27」は 古田敦也氏をはじめ、代々名捕手に使用されてきた番号である。

投手では「18」を右のエース、「34」や「47」を左腕エースに与える例が多い。ダルビッシュ有、大谷翔平が日本ハム時代に背負い、現在は空きとなっている「11」など、その球団限定でエース番号と認められている背番号もある。

こういった様々なストーリーを持つ背番号の中で、やや異質な存在であるのが「0」と「00」だ。

■背番号0
増田大輝(巨人)、中井大介(DeNA)、木浪聖也(阪神)、上本崇司(広島)、髙松渡(中日)、藤井亮太(ヤクルト)、水口大地(西武)、髙田知季(ソフトバンク)、小深田大翔(楽天)、荻野貴司(ロッテ)、勝俣翔貴(オリックス)

■背番号00
吉川大幾(巨人)、宮本秀明(DeNA)、上本博紀(阪神)、曽根海成(広島)、奥村展征(ヤクルト)、川瀬晃(ソフトバンク)、鳥谷敬(ロッテ)、西浦颯大(オリックス)

2020年シーズンの背番号「0」と「00」は全員が野手。その中で、ある役割の選手が多いという特徴がある。複数ポジションをこなしてフレキシブルな働きでチームに貢献する「ユーティリティープレーヤー」や、代打や代走、守備固めでの途中出場で存在感を発揮する「スーパーサブ」と呼ばれる選手たちである。

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巨人・増田大やDeNA・中井、ロッテ・鳥谷も…今季の背番号「0」、「00」プレーヤー

まず背番号「0」から見ていくと、巨人の増田大輝は昨季、代走での出場がメインながらチームトップの15盗塁を記録するなどブレークを果たした。増田ら若手内野手に押し出される形で2018年オフに巨人を戦力外となりDeNAに加入した中井大介は、移籍1年目の昨季は一塁、二塁、三塁を守り、右の代打としても勝負強さを発揮。攻守に貴重な働きを見せチームの2位進出に貢献した。

広島の上本崇司は2013年のプロ入り以来、これまでレギュラーとして活躍した時期はない。だが内外野の守備固めに代走も高いレベルでこなすスーパーサブとして重宝され、また明るいキャラクターからムードメーカーとしても2018年のリーグ3連覇に貢献した選手の一人である。

内野全ポジションを守れるのは、ソフトバンクの髙田知季。昨季は正遊撃手の今宮健太を含めて怪我人が続出したチームを陰ながら支えた。楽天のドラフト1位ルーキー小深田大翔も、やはり内野ならどこでも守れるユーティリティー性が売りだ。

背番号「00」では、巨人・吉川大幾、広島・曽根海成、ヤクルト・奥村展征、ソフトバンク・川瀬晃と多くの選手が複数ポジションを守り、レギュラーの立場ではないながら、しぶい働きでチームに貢献している。

今季からロッテの「00」を背負う鳥谷敬も、チーム合流後の練習試合ではさっそく二塁、三塁、遊撃で出場。背番号「1」をまとった阪神時代は遊撃手が本職だったが、新天地ではユーティリティーな役割を期待されていることが伺える。

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かつては「バントの神様」「究極のユーティリティープレーヤー」も

過去の歴史を紐解くと、最も成功したといえるのは巨人、中日でプレーし533犠打の世界記録を築いた「バントの神様」川相昌弘氏だろう。プロ入り時は「60」。その後何度か背番号を変えたが、最も着用期間として長かったのが1989年から1999年の「0」だった。本職の遊撃に加え、チーム事情によって二塁や三塁、外野もこなし、レギュラーを外れてからも代打と守備固めで長く活躍した。

もう一人、特に印象的だったのは日本ハム、広島、巨人でプレーした木村拓也氏だ。打者としてはスイッチヒッター。守っては内外野に加え、もともと捕手としてプロ入りしたことから緊急時にはマスクも被れる「究極のユーティリティープレーヤー」として活躍。実際に巨人時代の2009年には延長戦で捕手が足りなくなった際、10年ぶりにマスクを被ってチームの危機を救ったことがあった。

この2人が背番号「0」の印象を決定づけたと思われるが、その流れを汲んでか「00」も城石憲之氏(日本ハム、ヤクルト)、中東直己氏(広島)、後藤孝志氏、川中基嗣氏、寺内崇幸氏(巨人)といったユーティリティーやスーパーサブの選手たちによく着用されていた。

球界に脈々と受け継がれる「0」と「00」の系譜。絶対的なレギュラーとして、スーパースターのような扱いを受けることは少ないが、彼らみたいな選手もチームが勝つためには欠かせない。いぶし銀の活躍でチームを支える背番号「0」と「00」の男たちに今季も注目していきたい。

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