「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

山本由伸、大瀬良大地、髙橋遥人らカットボール得意な8投手の成績を比較

2020 4/4 06:00浜田哲男
左からオリックスの山本由伸、広島の大瀬良大地、阪神の髙橋遥人ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

カットボールのメリット

直球とほぼ変わらない球速でありながら、打者の手元でボール1個分程度鋭く変化させるカットボール。芯を外して打ち損じを狙う際に有効な球種だ。打たせて取ることで球数を減らし、直球のように肘や手首に負担の少ないフォームで投げられるというメリットもある。

今回はそんなカットボールを得意とする投手を、セ・パ両リーグから8投手をピックアップ。それぞれの投球割合、平均球速、奪空振率、被打率を比較してみる。

【関連記事】
近年はパワーカーブが流行? ヤクルト・五十嵐亮太らカーブの使い手を比較
千賀滉大・山本由伸・山口俊らフォークボーラー8投手の成績を比較

注目すべきは髙橋遥人

多彩な球種を操り、どの球も一級品のキレと精度を誇る巨人の菅野智之。カットボールは持ち球の中で投球割合が3番目に多く、カウントを稼ぐ際にも決め球としても投じる。コンディションや対戦相手により変幻自在のコンビネーションを見せる菅野にとって、生命線となっている球種のひとつだ。

昨季、先発で19試合に登板し3勝(9敗)を挙げた阪神の高橋遥人。まだ実績はないものの、直球の威力が魅力の期待の左腕は、カットボールの数値が秀逸。奪空振率と被打率が今回挙げた8投手の中で最も優れている。

2019 各投手のカットボール成績ⒸSPAIA


髙橋のカットボールの軌道は、斜めに落ちるように変化することが特長で、スラッター(カットボールとスライダーの中間)の類。昨季のソフトバンクとの交流戦で、髙橋が投じたカットボールに空振りした柳田悠岐は、その独特の軌道に対して「何だ今の球は?」といった驚きの表情を見せていた。

広島の大瀬良大地もスラッターを多投する。投球割合も直球の次に多く、特に左打者に対して投じているのは40.1%が同球種。スラッターを軸に投球を組み立てるようになってから飛躍を遂げた投手だ。

投球の幅を広げた千賀滉大

カットボールを織り交ぜ、さらに一段上のレベルへ到達した感があるソフトバンクの千賀滉大。昨季開幕戦でマークした最高球速161kmの直球と落差の大きいお化けフォークが代名詞だが、近年はカットボールも多投。直球やフォークの制球が定まらない際にはカットボールを軸に投球を立て直すなど、同球種が投球の幅を広げることに一役買っている。

ソフトバンク不動のクローザー・森唯斗は、カットボールの割合が直球よりも多い。平均球速で千賀を上回り、被打率も.235と秀逸。特に右打者に投じているのは48.8%がカットボール。三振でアウトを重ねていくのではなく、ゴロやフライで打たせていくタイプだ。

昨季楽天に加入したアラン・ブセニッツのカットボールも一級品。平均球速が145.5kmと速く、奪空振率は16.5%。カーブやチェンジアップも投じるが、持ち球の中で最も奪空振率が高くウイニングショットと言える。今回挙げた投手の中で唯一、カットボールでの被本塁打がゼロ。

見極め困難な山本由伸の高速カットボール

ザ・カットボーラーとも言えるのがロッテの唐川侑己。近年セットアッパーに配置転換されてからはカットボールを多投し、その割合は全体の42.3%。直球は3.0%とほとんど投げていない。カットボールを軸に、スライダー、フォーク、緩く大きなカーブで打者の目線を変えていく。制球が定まっている時の唐川は捉えられそうで捉えきれない。

オリックスの山本由伸のカットボールはとにかく速い。150kmを超えることも多いため一見すると直球と見間違えるのだが、打者の手元で鋭く変化。直球の平均球速が150.7km、ツーシームの平均球速が149.1km、フォークの平均球速が141.7kmと、他の球種も速いため見極めるのは至難の業だ。プレミア12では150km前後のカットボールを多投し、並み居る各国の強打者をいとも簡単に抑えた。

変化量が少ないため、コースが甘いと長打を打たれるリスクもあるカットボールだが、ゴロアウトを増やして投球数を減らし、怪我のリスクを回避できるなどのメリットがある。カットボールを取り入れる投手は今後も増えていくだろう。