大量“選手交換”があったロッテには昨季負け越し
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで、苦手チームとの対戦データから天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は昨オフ大型補強を行い戦力を充実させ、パ・リーグ優勝候補の一角に挙がる楽天を取り上げる。
昨季の楽天が苦手としたのはロッテ。10勝13敗2分けで3つの借金を作った。シーズン終盤の熾烈なCS進出争いは楽天が制するも、直接対決ではロッテに軍配が上がっている。
楽天とロッテといえば、昨オフは両軍の間で大量に選手が移籍し、移籍市場を賑わせた。計7名が動いた戦力交換により、両軍の力関係がどう変わるのか注目となる。
■楽天→ロッテ
美馬学(投手)
小野郁(投手)
西巻賢二(内野手)
ハーマン(投手)
■ロッテ→楽天
涌井秀章(投手)
鈴木大地(内野手)
酒居知史(投手)
則本、ウィーラーが“鴎キラー” 昨季飛躍の石橋は苦手克服なるか
昨季の楽天の主な選手の対楽天戦データを振り返り、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
投手は則本昂大が3試合で2勝1敗、防御率1.08と好投した。過去のシーズンを見ても3勝1敗、防御率2.65(2018年)、4勝0敗、防御率1.50(2017年)と安定してロッテには相性が良い。昨季は開幕前に右ひじを手術して7月からの登場だったが、そのエースが今季は開幕からローテーションに入る見込みだ。
一方、ロッテ戦に苦しんだのが石橋良太。プロ4年目の右腕は昨季、それまで一軍で実績のなかった状況から、先発ローテーションの一角に食い込み8勝をマーク。しかしロッテには先発、リリーフ3試合ずつ登板して1勝2敗、防御率6.85に終わっている。ほかのパ・リーグ4球団は防御率3点台以内に抑えていただけに、ロッテへの苦手克服がさらなる飛躍への鍵となるだろう。
打線は、茂木栄五郎、浅村栄斗、島内宏明、銀次、ウィーラーがいずれもロッテ戦でシーズン成績よりも高い打率をマーク。昨季加入のブラッシュは打率こそ.233だったもののOPSは1.014と、レギュラー陣はいずれもロッテ戦で好調だった。
特にウィーラーは打率.348・6本塁打・18打点・OPS1.110の大当たり。昨季は2015年の来日以来最低のシーズン打率.243に終わり、終盤の大事な時期に打撃不振で二軍落ちするなど不本意な結果となってしまったが、ロッテ投手陣相手にはめっぽう強かった。
ウィーラーは最近3シーズンで見ても、ロッテには2017年から毎年打率3割以上をマークしており、3年合計打撃成績は打率.354・17本塁打・47打点・OPS1.076。これだけ安定して相性が良いとなると、今季も“鴎キラー”として大いに期待できそうだ。
2020年プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス記事まとめ