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Rソックス・セール、ドジャース・カーショーで開幕。2018年WSの勝敗を分ける鍵は? 

2018 10/23 16:00勝田聡
ボストン・レッドソックス,ロサンゼルス・ドジャース,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

Rソックス、ドジャースのチーム成績を比較

ボストン・レッドソックスとロサンゼルス・ドジャースの対戦となった2018年のワールドシリーズ。レッドソックスがクリス・セール、ドジャースがクレイトン・カーショーと第一戦の先発投手も両チームから発表され、試合開始までいよいよ秒読み段階に入ってきた。まず、両チームの成績をレギュラーシーズン、ポストシーズンに分け、振り返ってみたい。

2018年シーズン成績

ⒸSPAIA

レギュラーシーズンでは勝利数、打率、得点、盗塁でレッドソックスに軍配が上がる。一方のドジャースは本塁打数、防御率でレッドソックスを上回っている。

2018年ポストシーズン成績

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その傾向は試合数が2試合違うものの、ポストシーズンでもほぼ変わらない。盗塁数こそドジャースの方が多いものの、その他の項目はレギュラーシーズン同様にレッドソックスが優勢だ。打線のレッドソックス対投手力のドジャースという構図となりそうだ。

セールとキンブレルの復調が鍵となるRソックス

激戦区と呼ばれるアメリカンリーグ東地区を制し、リーグ最高勝率でポストシーズンに突入したボストン・レッドソックス。ポストシーズンではニューヨーク・ヤンキース、ヒューストン・アストロズを下し、ワールドシリーズに駒を進めた。

ポストシーズン56得点は両リーグ最多、チーム打率.253はアストロズに次いで両リーグ2位と持ち前の強力打線は健在だ。個人成績を見ると、打率3割を超えているのはJ.D.マルティネス(.313)ただひとりだが、各選手とも重要な場面で力を発揮し勝ち上がってきた。

中でも特徴的なのがジャッキー・ブラッドリー・ジュニアだ。ここまで打率.200ながら、マルティネスと並びチームトップの2本塁打、9打点と結果を残してきた。アストロズとのリーグチャンピオンシップ(以下、ALCS)では、5試合で3安打ながらもその全てが効果的な得点に結びつきMVPを獲得した。まさにラッキーボーイといってもいい。

投手陣ではエースのクリス・セールが心配だ。ALCS第1戦に登板後に胃の不調を訴え、一晩入院。本来であれば第5戦の先発起用が濃厚だったが大事を取って回避したため、ワールドシリーズ(以下、WS)では病み上がりでの登板となる。また、クローザーのクレイグ・キンブレルも制球難から崩れるケースが見受けられ、ポストシーズン5試合中4試合で失点。防御率3.86と絶対的な安定感は失われている。

一方で好投を見せているのがネイサン・イオバルディだ。初めてのポストシーズンとなったが、先発・中継ぎで3試合に登板し2勝0敗、防御率1.88と好投を見せている。WSでも同様の働きを見せたいところだ。

近年の短期決戦では継投が早くなっており、わずかな遅れと過度な信頼が命取りになるケースが多い。レッドソックスはセールの体調、そして守護神・キンブレルの不振をどのように考え、継投のカードを切ってくるのだろう。5年ぶりのWS制覇へ向け、好投のイオバルディを含めた投手陣の起用法が大きな鍵となりそうだ。

ドジャースは打線の強みを活かせるか

大激戦だった今シーズンのナショナルリーグ西地区。ロサンゼルス・ドジャースは規定の162試合でコロラド・ロッキーズと同率首位だったため、163試合目を戦った。その試合で勝利し地区優勝を決めると、アトランタ・ブレーブスとミルウォーキー・ブルワーズをそれぞれ下し、2年連続となるWS進出を決めた。

ドジャースの強みは中継ぎ投手陣だろう。ディラン・フローロ、ケーレブ・ファーガソン、ペドロ・バイエズがそれぞれ6試合に登板し、無失点。抑えのケンリー・ジャンセンも6試合で無失点と抜群の安定感を誇り、前田健太も5試合中4試合で無失点と存在感を発揮した。クレイトン・カーショーをはじめとした先発投手陣が、試合中盤まで試合を作ることができるかどうかにかかっている。

一方の野手陣では、ヤシエル・プイグの打率.333をのぞき、レギュラー格の選手で打率.280を超えているのはデービッド・フリースただひとり。本塁打数が多いにもかかわらず、なかなか打線としてのつながりは見られていない。だが、短期決戦は一振りで試合が決まることも多い。好調なプイグ、ポストシーズンに強いフリースだけでなく、「ここぞ」の場面で一発が期待できる打線の特長を活かしたいところだ。

ドジャースは2013年から6年連続で地区優勝を果たしているが、1988年以来、WS制覇を成し遂げていない。前回の世界一から30年目となる2018年、7度目の頂点に立つことを期待したい。