ドジャー・スタジアムはピッチャーズパーク
ナショナルリーグチャンピオンシップ(以下、NLCS)を勝ち抜き、ワールドシリーズ(以下、WS)へと駒を進めてきたのは西地区に所属するロサンゼルス・ドジャースだ。2016年シーズンから前田健太も所属しており、日本のメディアでも取り上げられる機会が多い球団。また、1995年には日本人2人目のメジャーリーガーとして、野茂英雄が契約したことでも知られている。
日本人にとってロサンゼルスは比較的過ごしやすい気候ということもあってか、野茂や前田以外にも黒田博樹や斎藤隆といった選手も在籍していた。
ドジャースの本拠地であるドジャー・スタジアムの開場は1962年で、本拠地として使用されている30球場中で3番目に古い。得点が入りくい球場「ピッチャーズパーク」としても知られており、今シーズンの得点パークファクター(※)は30球場中26位の0.872だ。
※ 得点パークファクター:各球場の得点の入りやすさを測る指標。数字が1より大きければ、その球場は他球場よりも得点が入りやすく、小さければ得点が入りにくいことを表す。
投手陣を中心にどん底から優勝へ
今シーズンのドジャースは、開幕後しばらく調子が上がらず苦しんでいた。5月16日(日本時間17日)には、今季ワーストの6連敗で16勝26敗と低空飛行が続く苦しい序盤戦だった。しかし、そこから1カ月も経たない6月7日(同8日)に借金を返済すると、着実に白星を積み上げていった。
初めて首位に立った7月12日(同13日)からは上位争いを続け、162試合終了時点で91勝71敗と貯金「20」を積み上げた。この時点でコロラド・ロッキーズと同率首位となったため、163試合目となる優勝決定戦に臨む。その試合でドジャースが競り勝ち、地区優勝を成し遂げた。これで2013年から地区6連覇となり、同地区の中では抜きん出た存在に。だが、WS制覇に関しては1988年以来遠ざかっており、30年ぶりの悲願達成を目指す。
その中心はやはり投手陣だ。エースのクレイトン・カーショーは故障離脱がありながらも、161.1回を投げ9勝5敗、防御率2.73の成績を残している。また、ベテラン左腕のリッチ・ヒルがチーム唯一の2桁勝利となる11勝(5敗)をマークした。
中継ぎ投手陣では、抑えのケンリー・ジャンセンが69試合に登板し38セーブ。その他にはスコット・アレクサンダー(73試合)、ライアン・マドソン(58試合)、ペドロ・バイエズ(55試合)、ディラン・フローロ(54試合)、ジョン・アックスフォード(50試合)が50試合以上の登板を果たし、ブルペンを支えてきた。
前田は先発としてシーズンを開始したが、中盤戦からブルペンへと配置転換。その中で好結果を残している。
ベテランのケンプが復活
野手陣では、2014年以来4年ぶりの古巣復帰となったベテランのマット・ケンプが気を吐いた。サンディエゴ・パドレスやアトランタ・ブレーブス時代には故障もあり、思うような成績を残せなかったが、今季のドジャースでは146試合に出場し、打率.290、21本塁打と結果を残している。
夏の移籍市場で獲得した強打の内野手マニー・マチャドは66試合に出場し、打率.273、13本塁打と大活躍までとはいかなかったが、まずまずの働きといっていいだろう。
ポストシーズンに強いデービッド・フリースも今夏の移籍市場でチームに加わった。ドジャースでの出場試合数は19試合と少ないが、打率.385と結果を残している。NLCS第6戦では先頭打者本塁打も放つなど、9試合で打率.300(10打数3安打)を記録。WSでもラッキーボーイさながらの働きを見れるか注目が集まっている。
打撃力が強いチームではないため1発頼みとなることも多いが、ひとたびリードすれば強力なブルペン陣によって、逃げ切り勝ちを狙える。となれば、やはり先制点を挙げることが勝利への近道となるだろう。
2年連続で大舞台に登りつめてきたドジャースは、30年ぶりの悲願達成となるか。レッドソックスとの死闘が楽しみだ。
※数字は2018年シーズン終了時点