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金光大阪、OB吉見一起氏に誓う甲子園初勝利「大阪2強」だけじゃない!

2022 2/1 06:00池沢拓也
中日時代の吉見一起氏,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

大阪桐蔭と履正社以外では13年ぶりセンバツ

第94回選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が28日に開催され、金光大阪(大阪)が13年ぶり3回目の出場を決めた。選抜大会の大阪勢は長らく全国的な強豪として知られる大阪桐蔭、履正社が占め、両校以外の選出は09年の金光大阪、PL学園以来、実に13年ぶりのこととなった。

「2強」は全国の舞台で常に、結果を残してきた。過去12年間で大阪桐蔭が9回出場し、3回の優勝を成し遂げれば、履正社も7回の出場で準優勝2回。17年には両校が決勝で激突するなど、大阪のレベルの高さを知らしめてきた。

「打倒2強」が全国への近道であることに違いはない。97年8月から母校の指揮を執る金光大阪・横井一裕監督(47)は「心」に勝機を見いだした。

「大阪桐蔭、履正社は日本全国のチームが対戦を求め、勝負してみたいと思う学校で、私どもも同じ。ただ同じようなことをしていたら、勝負にはならない。金光大阪らしく“1”を大切にする。1球、1イニング、1つのアウトに執着心を持って戦う」

体現したのは強固なバッテリーだ。右の本格派のエース・古川温生投手(2年)は最速140キロ直球を軸に、カーブ、スライダーなど多彩な変化球を駆使し、昨秋公式戦10試合中、6試合で完投。近畿大会1回戦・高田商(奈良)戦では11奪三振での完封勝利を挙げるなど、安定感抜群の投球で進撃の原動力となった。

攻撃陣は昨秋公式戦チーム最多タイの10打点を記録した主将・岸本紘一捕手(2年)を中心に、しぶとく加点していった。近畿大会準々決勝・近江(滋賀)戦では最大6点差を逆転。「全ての試合で、チャレンジャーと思って、挑んできた」と振り返る。大阪大会決勝で大阪桐蔭に0―7で敗れ、秋の段階での「打倒―」は果たせなかったが、全国の舞台で借りを返す機会は残っている。

昨年から元中日・吉見一起氏が特別コーチ

偉大なOBの影響力も見逃せない。02年春に甲子園大会初出場を果たした際のエースで、中日で2度、最多勝を獲得するなど通算90勝を記録した吉見一起氏が昨年から特別コーチとしてチームに加わった。

一昨年の引退以降、事あるごとにグラウンドに顔を出し、ナインを激励してくれた右腕に、恩師でもある横井監督がコーチを依頼。現在では月1~2回のペースで指導を受けている。岸本は絶大な効果を口にする。

「なぜ野球をしているのか、なぜこのチームに入ったのか。一番、大事な事に気付かされた。捕手としては配球や、投手の考え、どう声をかけていくべきか。大切な部分を教えていただきました」

春2回、夏1回。過去3度の甲子園大会では全て、初戦敗退。聖地での勝利の味を、吉見とともに味わうことが最初の目標だ。

大阪の選抜大会通算203勝は全国1位で、優勝回数11回は愛知と並ぶ首位。ちなみに優勝を経験した高校はPL学園、大阪桐蔭、大体大浪商、北野、上宮、近大付と6校あり、これも全国最多となっている。全国屈指の激戦区で持ち味を存分に発揮し、選抜切符をつかんだ金光大阪。7校目に名を連ねても何ら、不思議ではない。

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