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少年野球で投手のテイクバックをスムーズにするためのアドバイスの仕方

2020 9/24 06:00芹田祐
イメージ画像ⒸWanderinNomadPhotography/Shutterstock.com
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ⒸWanderinNomadPhotography/Shutterstock.com

テイクバックで腕が背中に入りすぎるフォームのデメリット

少年野球では投球中のテイクバックで腕が背中側に入りすぎてしまう選手が非常に多い。

テイクバックで腕が背中に入りすぎるとデメリットが多く、修正するべきポイントになる。

今回はテイクバックを修正するときのコツについて紹介する。普段なかなか意識することがない部分だと思うので、ぜひ参考にしていただきたい。

まず、テイクバックで腕が背中に入りすぎるとどのようなデメリットがあるのかについて解説していく。

投球フォーム1


上の写真をご覧いただきたい。テイクバックで腕が背中に入りすぎている例である。テイクバックの初動で腕を後ろに引きすぎると肩関節の構造上、腕を高く上げるのが難しくなる。

投球フォーム2


その結果、踏み出し足が地面に着地した瞬間に腕が上がりきらず、肩と比べて肘の位置が低くなってしまう。このフェーズで肘が肩よりも明らかに低いのは「肘下がり」といわれ、修正するべきポイントとなる。

テイクバックの初動で腕が背中に入りすぎると、その後のフェーズで好ましくない投球フォームをを惹起しやすくなるのだ。

投球フォーム3


投球フォーム4


踏み出し足が着地したときに肘が肩と同じくらいの高さまで上がっていると、下半身・骨盤・体幹などのボディーターンに腕が巻きつくように連動して腕のしなりを使ったピッチングを行うことができる。

投球フォーム5


しかし、肘下がりを呈しているとボールリリースに向けて投球方向に回転運動をしたときに下半身・骨盤・体幹のターンに腕が連動せずに孤立した動きになりやすい。

この投球フォームは全身が連動した効率的な投球フォームとはいえず、パワーロスにつながって球速が上がりにくくなる。また、ボールをコントロールするのも難しくなってしまう。さらに、腕だけに依存して強引にボールリリースを迎えるため、肩や肘にかかる負担が大きくなってしまう。

関節が柔らかい選手の場合、テイクバックで腕が過度に背中に入っていたとしても、腕を高い位置まで持ち上げることは可能である。

しかし、適切な関節の可動範囲を超えて腕を回すことになるので、肩関節に加わる負担が大きく、ケガのリスクが高くなってしまう。

このように、テイクバックで腕が背中に入りすぎてしまうことはパフォーマンスとケガ予防の両側の観点から好ましくないと言える。

テイクバック修正のワンポイントアドバイス

これからテイクバックの修正方法を紹介していく。まず、はじめに説明する投球フォームのチェックポイントに該当する選手は今回の方法を実践していただきたい。

投球フォーム6


みなさんの投球フォームで左足を上げたときの右肘をみてほしい(左投げ投手の場合は反対)。右ひじが閉じていて脇に近い位置にないだろうか。少年野球の選手では投球前から腕に余分な力が入ってしまい、脇を窮屈に閉じてしまっている選手が非常に多い。

投球フォーム7


構えたときに脇が閉じて固めてしまっている選手の弊害を説明する。このような選手の場合、体重移動でグローブから右手を落としてテイクバックを開始するときに、肘が伸びると同時に腕が大きく背中側に入りやすくなってしまう。その結果、前述のように腕をスムーズに上げることが難しくなってしまうのだ。

投球フォーム8


このような選手に実践していただきたいのが、構えのときに肘を体の外側(2塁側)に少し開き、リラックスした状態でテイクバックをしてみていただきたい。

投球フォーム9


そうすることで、テイクバックの初期段階でグローブから右腕を落としたときに、肘が伸びると同時に腕が2塁側に向けて上がり、トップまでに腕をスムーズに回しやすくなる。

このポイントを修正するだけで、投球フォームが改善するケースを多々経験しているので、テイクバックで悩んでいる選手にはぜひ試してみていただきたい。

テイクバックを修正してパフォーマンスを高める

テイクバックが背中に入りすぎることで以下の弊害が生まれる。

・コントロールが安定しにくい
・球速が上がりにくい
・ケガのリスクが高くなる

テイクバックを始める前の構えの段階で右肘が閉じてしまっている選手は少し脇を開き、リラックスした状態で体重移動を行うように心がけていただきたい。

テイクバックを改善してスムーズな投球フォームを身につけよう。

《ライタープロフィール》
芹田祐(せりた・たすく)。理学療法士。小学生から野球を始める。中学時代に肩を痛め、思い切りプレーできなくなったたことをきっかけに、スポーツでけがをした選手を支える側に立つことを志す。大学卒業後、アマチュア選手だけでなく、プロ野球選手のリハビリやトレーニング指導に従事。現在はWebサイトやSNS、書籍を通じて知識と技術を発信している。著者サイト:野球のコツと理論

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