サーブを打つ前のルーティン
現在大阪で開催中の国際大会、男子のバレーボールネーションズリーグで、サーブを打つ前に妙なルーティンをする選手がいる。ブラジル代表の一員として活躍する20歳のアタッカー、ダルラン・ソウザだ。
まだあどけない表情ながらも、コート上ではプレーが一変。パワフルなスパイクを決めて吠えたり、一転、フェイントなども使いこなしてブラジルの攻撃の一角を担っている。
今大会のブラジル代表は、東京オリンピックが終わり、2年後のパリオリンピックに向けたチーム作りを行っていて、国内リーグのチームに所属する若手も何人か抜擢されていた。その中でも一番の活躍を見せるのがダルランだった。
ただ、ダルランが一番ザワつかせていたのが、サーブの動作だ。筆者がブラジル代表側のコートエンドラインで写真を撮っている時、ダルランがサーブを打つ前の動作で妙な手の動きをしているのを目の前で見た。
最初は手についた汗でも拭いているのかと思った。しかし、よく見ると一連の動作は毎回同じ。まず合掌して、パパッと手を組み合わせ、最後には手を縦に組み合わせたいわゆる忍者のポーズ。
どっからどう見ても、筆者も愛読した忍者漫画「NARUTO(ナルト)」のものにそっくりだった。
試合後、ダルラン本人に聞くとやはりナルトの大ファンだった。ブラジルでもナルトは大人気らしい。
「選手によって、サーブのルーティンがありますが、自分も何かユニークなルーティンがないかなと思って、自分の好きな日本のアニメから取り入れました。去年からしています」
筆者提供
何の術の印か聞いてみると「火遁の術」だった。ナルトで火遁の術といえば、人気キャラクターの「うちはサスケ」か「うちはイタチ」が特に使いこなしている術。案の定、好きなキャラクターはうちはイタチだった。
ブラジル代表での夢や、ナルトの生まれた国・日本でプレーする可能性があるか聞いてみると「ブラジル代表でたくさん優勝してみたい。小さい時から日本でプレーしたい夢があります。将来は日本でもプレーしたいですね」
子どもっぽい笑顔で嬉しそうに話してくれた。でも、その前に7月10日には日本代表と戦う。ダルランがいろいろな忍術を使って、日本代表を苦しめるかもしれない。
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