予選ラウンド11位で終えたネーションズリーグ
5月にイタリアのリミニで開催されたネーションズリーグは、FIVBワールドリーグに代わって2018年に設立された世界大会だ。男女各16チームが参加し、1回戦総当たり形式の予選ラウンドを勝ち上がった4チームがファイナルラウンドで戦い、世界一を決める。
今年の男子バレー日本代表は奮闘したものの、7勝8敗で11位に終わった。2018年は6勝9敗で12位、2019年は7勝8敗で10位だったため、例年と変わらない結果となった。しかし、結果だけでは見えない収穫がたくさんあったのも確かだ。
どのチームも東京五輪に向けて仕上げてきている中、日本代表は新たな戦力を多く投入。初めて代表選出された髙橋藍・大塚達宣といった若い戦力が世界の強豪相手にそのポテンシャルを爆発させ、新しい時代の訪れを感じさせた。
そんな中、一際輝きを放っていたのが日本の不動のエース・石川祐希である。15戦中11試合でスタメン出場した石川祐希は、海外選手と対等に渡り合う姿を見せ、11位という結果を感じさせない圧倒的な存在感を世界中に示した。
世界のトップ選手に負けない8位のスコアラー
ネーションズリーグでの石川の結果を見てみると、ベストスコアラーランキングで名だたる海外選手とともに名を連ねて堂々の8位にランクインしている。
ポイント率は169本中149本で88.17%という高い成功率、ミスは9本で6.51%という結果が出ており、このデータを見ても石川の凄さは明白である。その内訳を見ても、貢献度の高さはうかがえる。アタック決定率は55.19%、ミス率は10.37%で10位にランクインしており、サーブ決定率は世界ランク38位で日本ではトップの数字である。
サーブレシーブやディグなどの守備面でも高い貢献度
石川の魅力は、攻撃面だけで語ることはできない。忘れてはいけないのは、その守備力の高さである。サーブレシーブ成功率は43.38%、ミス率は3.20%となっており、世界ランク12位になっている。
11位以上の選手を見てみても、この成功率の高さとミス率の低さはトップクラスである。また、ディグ成功率は67.06%で30位にランクインしており、リベロの山本智大に続いて日本人2位となっている。
世界トップクラスの選手を見ても、これだけの攻撃力と守備力を誇る人材はいない。「日本バレー史上最高の逸材」と言われた石川は、その本領を世界の舞台で発揮している。
ミスの少なさと高い得点力で東京五輪のメダルを狙う
世界から注目を集めている日本のエース・石川は、攻撃においても守備においても高い成功率を誇りながらも圧倒的なミスの少なさが世界で高く評価されている。これは、イタリアの厳しい環境で世界の強豪と戦うために積み上げてきた武器である。
今後、石川へのマークは更に厳しくなることが予想される。だが、イタリアで長く戦い続けてきた石川なら、自国開催の五輪で日本をメダルへと導くべく大活躍してくれるだろう。
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