東京五輪メンバーに2人の大学生が初選出
日本バレーボール協会が6月21日に発表した東京五輪に出場する男子バレーボールの日本代表メンバー12人。前回のリオ五輪に出場していた石川祐希や西田有志ら経験値の高いメンバーが選出される一方、初選出された2人の大学生に注目が集まった。19歳の大学生、高橋藍(らん)と20歳の大塚達宣(たつのり)である。
5月に行われた中国との親善試合で日本代表デビューを果たした2人は、初出場とは思えない活躍を見せ、国内外に一気にその名を轟かせた。その後行われたネーションズリーグでの活躍も高く評価され、今回の東京五輪のメンバー選出へと至っている。この2人のニューフェイスに東京五輪での悲願のメダル獲得が託されている。
高校時代にエースとして春高優勝した高橋藍
バレー部に所属する高校生の夢の舞台である春高バレー。高橋藍率いる東山高校が2020年の春高バレー本戦に出場するためには、前年度春高優勝の洛南高校に京都大会で勝たなければならなかった。予選から厳しい戦いを強いられたが、見事に宿敵を倒して念願の春高バレーに6年ぶり出場を果たした。
高橋は東山高校のキャプテン兼エースとして春高でも圧倒的存在感を示し、全6試合で1セットも落とすことなく他校を圧倒して悲願の初優勝。その名前と才能はすぐに日本中に響き渡り、全国のバレーファンがどこのチームに入るのかと期待に胸を膨らませていたが、高橋は日本体育大学への進学を決めた。
この決断を見ても、プレースタイルを見ても、現在日本代表の主将を務める石川祐希を彷彿とさせるものがあり、今後の活躍が期待されている選手である。
早大で春秋リーグ戦全勝優勝の立役者・大塚達宣
大塚達宣はバレーエリートとも言える人生を送ってきた。小学校3年生の時にバレーを始め、中学校3年生では全国ヤングクラブ優勝大会・JOC中学バレーで最優秀賞を獲得した。その後、京都の名門・洛南高校に進学し、1年生からエースとして3年連続春高出場。3年生の時には14年ぶりの春高優勝を果たしている。
高校卒業後には早稲田大学に進学。エースとして活躍した2020年の関東リーグでは春秋ともに全勝優勝、全日本大学選手権では創部史上初の4連覇という偉業に貢献している。そんな大塚達宣の全日本選出を驚くバレーファンはいなかっただろう。
194cmという身長、最高到達点340cmという高さを活かした巧みなスパイクは、世界の高いブロックを打ち砕くための重要な武器である。
それに加えて、クレバーなプレースタイルにも注目が集まっている。どんな状況でも冷静に、最善を選択できる大塚達宣の活躍が試合の流れを変えると言っても過言ではない。
ネーションズリーグで堂々のプレー
2021年、東京五輪の大舞台を控えた前哨戦。5月に行われた中国との親善試合や6月に行われたネーションズリーグでは、2人は初選出とは思えない堂々たるプレーで存在感を示した。
世界から注目される選手になるほど、他国から研究されてマークは厳しくなる。東京五輪では、2人のプレースタイルも世界中のチームが研究、対策をしてくることは間違いない。そんな中、日本を背負う若きエース2人がどのような活躍を見せてくれるのか、多くのバレーファンが心を躍らせているだろう。
東京五輪の命運はもちろん、近年世界大会上位に名を連ねることができていない日本バレーが、今後どのように発展していけるのか、日本バレーの未来が託されたスター選手2人に今後も注目していきたい。
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