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日本男子バレーのエース石川祐希がイタリアで得た技術とメンタル

2021 6/17 11:00有栖沙織
石川祐希Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

低迷していた日本バレー界の救世主

長い低迷期から抜け出せずにいた日本男子バレー界を救ったとの呼び声高い新時代のエース石川祐希。甘いルックスと351cmという高い最高到達点から振り下ろされる120kmを超える超高速スパイク。強烈なサーブや安定したレシーブもできるオールラウンダーとしての顔も持っており、その実力は世界でも認められている。

一時期は世界戦でも予選落ちが続き、注目度が下がっていた日本男子バレー界を引っ張る第一人者。2014年に全日本代表デビューを果たしてから、世界で「ISHIKAWA」の名前が呼ばれるまで、そう長くはかからなかった。

2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪と2大会連続で五輪出場を逃した全日本男子チームは、石川祐希の活躍もあり、2019年に世界4位という好成績を収めた。

身長が低かったから身につけた多彩なコース打ち

今でこそ192cmと世界と渡り合える高身長の石川祐希だが、中学校時代には身長が伸びず高さの壁にぶちあたっていた。その問題をクリアするために始めたのがコース打ちの練習である。

相手コートに椅子を置き、それを狙ってスパイクを打つ練習を毎日繰り返した。その時に日々行った地道な練習によって身に着けた技術は、身長が伸びても石川の大きな強みとなっており、愛知・星城高校時代は2年連続3冠を達成。そして今、より強化された高い打点から繰り出させる縦横無尽の攻撃は、世界と戦うための武器となっている。

リオ五輪出場を逃してイタリアへ

高校、大学と華々しい成果を残し、日本代表に選出された石川祐希のバレーボール人生は順風満帆のように見えるが、世界の壁は高く思うようにいかない時期もあった。

2016年のリオオリンピックをかけた予選では、厳しいマークに遭い、執拗にサーブで狙われて敗戦。これをきっかけに世界に通用する選手になるため、舞台をイタリアへ移した。異国の地で努力を重ね、リベロとして守備力を高めた。それによって、今では世界的に守備力も評価され始めている。

また、攻撃面でも高いブロックと戦い続け、現在は世界最高峰とも言われるセリアAでもチームの中心選手となった。

石川がイタリアのチームで身に付けたのは技術力だけではない。言葉が通じない、高いレベルのリーグでプレイを続けることにより、どんな場面でも最高のプレイができる精神力が培われた。石川の変わり様は日本でも高く評価されている。

キャプテンとして挑む東京五輪に石川の活躍は必須

着々と世界での知名度を高めている石川祐希。注目度が上がるほど、試合中のマークはこれまで以上に厳しくなることが予想される。

その上、25歳で迎えた今回のネーションズリーグでは主将を任されていることから見ても、東京五輪も石川祐希中心のチームになるだろう。数年前までは若手と言われていたが、今回の代表メンバーは初選出が多くなっており、プレー面でも精神面でも支柱となることが求められている。

今回のネーションズリーグでも、これまで以上に周囲に声をかけて感情を表したり、コーチと意見交換をする姿が目立つ。若手選手がいきいきと自分のプレーができるのも、石川祐希の存在が大きいだろう。

日本から遠く離れたイタリアの地で大きく成長した日本のエースは、東京五輪で日本にかつてのような栄光をもたらすことはできるだろうか。

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