「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

2人揃ってトップ選手!きょうだいで活躍するテニス選手たち

2017 8/25 10:07跳ねる柑橘
williams sisters
このエントリーをはてなブックマークに追加

きょうだいアスリートはテニス界にもいる

兄弟姉妹で同じ競技に打ち込む、という話はどんなスポーツでも良く聞く話だ。同じ競技をしていれば、きょうだいは最も身近で最大のライバルであり、ともに成長する仲間であり、一番近くにいるお手本にもなる。ともに成長し、ともに栄光を味わうこともできる。
テニスでも、数多くのきょうだい選手がいるが、今回はそのなかでも特に成功を収めている4組のきょうだいをご紹介しよう。いずれもそれぞれのフィールドで偉大な記録を打ち立てているきょうだいばかりだ。

セリーナとビーナス、最強のウィリアムス姉妹

まずは言わずと知れた女子テニス界最強の姉妹、ウィリアムス姉妹だ。姉ビーナス選手と妹セリーナ選手は1歳違い。この姉妹の何がすごいかというと、ともに世界ランキング1位経験者ということだろう。それもシングルスだけでなく、姉妹でペアを組むダブルスででもだ。
個人の成績を見てみると、ビーナス選手はシングルスでウィンブルドンを5回、全米オープンを2回制している。また全豪オープンで2回、全仏オープンでも1回準優勝しており、オリンピックでもシングルスで金メダルを手にしている。最近でも2017年のウィンブルドンで準優勝するなど、ベテランの域に入ってもその強さは健在だ。

妹セリーナ選手は更にとんでもない記録を持つ。シングルスでなんとグランドスラムを23回優勝しているのだ。また、セリーナ選手はシングルス・ダブルス両方で「キャリア・ゴールデンスラム」を達成した男女唯一の選手でもある。ゴールデンスラムとは、4大大会とオリンピックを制すること。キャリアを通じて達成することを「キャリア・ゴールデンスラム」という。
これをシングルス・ダブルス両方でやってのけた驚異的な実力を持つ。また2017年の全豪オープンでも優勝したのだが、この時妊娠していたことがのちに明らかになり、世界中がその事実に度肝を抜かれた。

ウィリアムス姉妹はダブルスペアでも数多くの成功を収めている。4大大会すべてで複数回優勝しており、合計なんと14回。さらにオリンピックで3回金メダルを獲得している。個人でも姉妹でも信じられない記録を誇る、最強の姉妹なのである。

注目の年の差兄弟年の差兄弟。ミーシャとアレクサンダー、ズベレフ兄弟

続いてはドイツ人兄弟、ズベレフ兄弟だ。兄のミーシャ選手は1987年生まれ、弟のアレクサンダー選手は1997年生まれと10歳離れている。兄ミーシャ選手のプレーを見てテニスを始めたというアレクサンダー選手は、近年注目を浴びる若手選手の1人だ。
ミーシャ選手の4大大会最高成績は2017年全豪オープンのベスト8。ダブルスでは弟とペアを組みツアー3勝をあげている。

兄弟選手として注目を浴び始めたのは、弟のアレクサンダー選手がジュニア大会で頭角を現した頃から。2013年にプロデビューすると、2015年には年間最優秀新人賞を受賞。2016年には10代でATPツアー初優勝と順調にキャリアアップする。
そして迎えた2017年初頭のホップマン・カップ、生ける伝説であるロジャー・フェデラー選手に接戦の末勝利すると、続く全豪でラファエル・ナダル選手を相手に4時間を超える激闘を戦い、フルセットの末力尽きた。だがその後もその高い能力を見せつけ、南フランスオープンで優勝。
BNLイタリア国際では決勝でノヴァク・ジョコヴィッチ選手を破りマスターズ1000で初優勝。この破竹の大活躍でついに世界ランキング10位に。若干20歳にしてトップ10入りの快挙を果たした。その後のウィンブルドンでは4回戦に進出している。

2017年のツアーファイナル出場も現実味を帯びてきており、今後ますます注目していきたい選手だ。ミーシャ選手も弟の活躍に触発されてか最近はたびたび善戦を見せており、ツアーでも気になる存在となっている。

シングルスとダブルスをそれぞれ支配、マリー兄弟

次に見るのはスコットランド出身のマリー兄弟。兄ジェイミー選手は1986年生まれ、弟アンディ選手は1987年生まれだ。知名度が高いのは、主にシングルスで戦う弟アンディ選手だろう。男子シングルス界の“ビッグ4”の一角として長くトップに君臨し、世界ランク第1位に輝いたほか、ウィンブルドンで2回、全米オープンで1度優勝している。
オリンピックではロンドン大会とリオ大会でシングルス2連覇を達成した。 一方、兄のジェイミー選手はダブルスのスペシャリストだ。シングルス・ダブルスを通じてイギリス人で初めて世界ランキング1位になった選手でもある。ダブルスで全豪と全米を優勝、またウィンブルドンで準優勝している。

マリー兄弟は2015年のデビスカップでダブルスペアを組み、見事イギリス代表チームを優勝に導いている。右利きのアンディ選手と左利きのジェイミー選手。後述のブライアン兄弟のように互いの強みを生かし、弱点を補うプレーで見事な試合を演じてみせた。

マリー兄弟はそれぞれテニス以外のスポーツでも才能を持つことで知られている。兄のジェイミー選手はゴルフが趣味で、ハンディキャップ3の腕前。また弟のアンディ選手は少年時代サッカー少年で、地元スコットランドの名門グラスゴー・レンジャーズのスカウトに声を掛けられたほどだ。現在も試合中テニスボールを見事な足技でさばくことがある。

男子ダブルス界史上最高ペア、ブライアン兄弟

最後に紹介するのは男子ダブルス史上最高のペア、アメリカのブライアン兄弟だ。1978年生まれの双子、ボブとマイクは、テニス指導者の両親のもとでテニスをはじめ、1998年にそろってプロデビュー。2001年にATPの大会で初優勝すると、そこからブライアン兄弟の伝説が始まった。
これまでグランドスラム男子ダブルスで16回優勝。これは歴代最多優勝回数だ。どのサーフェスでも強いが、全米で5回、全豪で6回優勝とハードコートでの戦績が際立っている。またATPツアーの大会であげた通算112勝も歴代最多。グランドスラムの4大会、ツアーファイナル、マスターズ1000の9つの大会、オリンピック、デビスカップと、主要大会のほとんどで優勝している。また世界ランキング1位在位記録も持つなど、男子ダブルスで史上最も成功を収めたペアなのだ。

兄のボブ選手は左利きで、弟のマイク選手は右利き。互いの強みを生かし、弱みを補うことができるのが、ブライアン兄弟の強さの秘密だ。彼らが互いをよく理解していることがわかるのが、チェストバンプ(飛び跳ねて胸と胸でぶつかるアクション)だ。
ブライアン兄弟はポイントをとった際に、ハイタッチするのと同じようにこのチェストバンプを行う。長年のペアでありまた双子だからこそ、互いにどのタイミングでチェストバンプをするか完璧に理解している。そのため2人のチェストバンプはきれいなシンメトリーとなり、彼らの試合の見どころともなっている。
これが相互理解が不十分なペアだとそうはいかない。ブライアン兄弟だからこそできるチェストバンプなのだ。

最高のペア、最高のライバル、最高のコーチ、それがきょうだい

以上みてきた4組のきょうだいから言えることは、やはり一番近くにいる存在だからこそわかりあえているということだろう。ペアを組めばどのきょうだいもタイトルを獲得している。
またシングルスを行わないブライアン兄弟以外は、自分のきょうだいの試合には可能な限り応援に駆け付ける。またトレーニングでは的確なアドバイスができる優れたコーチにもなる。
彼らきょうだい選手の多くが成功を掴んでいるのは、このように互いに支え合い、高め合っているからなのだろう。