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テニス柴原瑛菜、全仏混合ダブルスVで同会場のパリ五輪へ期待膨らむ

2022 6/22 06:00田村崇仁
全仏オープン混合ダブルスで優勝した柴原瑛菜とウェスリー・コールホフ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

米国で育んだ才能、ペア結成のきっかけはインスタ

テニスの四大大会、全仏オープンの混合ダブルスで24歳の柴原瑛菜(橋本総業)が驚きの金字塔を打ち立てた。6月2日、パリのローランギャロスで行われた決勝。第2シードの柴原は33歳のウェスリー・コールホフ(オランダ)とペアを組み、ウリケ・アイケリ(ノルウェー)ヨラン・フリーゲン(ベルギー)組を7―6、6―2で下して赤土の頂点に立った。

米カリフォルニア州に生まれ育ち、4月にインスタグラムでコールホフから誘われて全仏で初めて組んだ急造ペア。それでも息の合ったプレーで勝ち進み、第1セットはタイブレークで2―5の劣勢から5ポイントを連取する勝負強さを見せた。

同種目の日本勢では1997年大会覇者の平木理化、マヘシュ・ブパシ組以来25年ぶりの快挙を達成した。四大大会では1999年全米オープン制覇の杉山愛、ブパシ組以来の優勝となり、優勝賞金12万2000ユーロ(約1700万円)を獲得。2024年パリ五輪の会場となる赤土のコートで、非凡な才能が大きく花開いた。

ダブルスは家族の原点、173センチの長身でパワフル

7歳でテニスを始めた当時から、家族でダブルスに親しんで育った。両親は日本人で兄2人の5人家族。幼少期から父や兄の強打に食らい付き、混合で対戦する男子の球威に負けないショットが磨かれた。家族以外にも年齢や性別に関係なくペアを組み、地元の大会に出場していたという。混合ダブルスはテニス人生の「原点」でもあった。

173センチの長身でプレーはパワフル。ベースラインからのプレーも安定し、ネットプレーも巧みだ。得意のサーブで決勝では計3本のエースを決め、最後も自らのエースでけりをつけた。

自身のインスタでは「優勝しちゃったなんて、まだ夢の中にいる様ですが、私をサポートしこの夢を現実にしてくれた私の人生のすべての人にとても感謝しています。もちろん、コールホフ!DMに気付くのが遅かった私からの返事をとても辛抱強く待ってくれて、そして一緒にプレーしてくれてありがとう! この2週間はとても楽しかったし、このタイトルを手に入れられてとても幸せです!」と茶目っ気たっぷりにコメントした。

男女が交互にサーブを打つ混合ダブルスは女子選手がサービスゲームをいかにキープし、男子選手のサーブをいかにリターンするかが鍵を握る。柴原は今年からシングルスにも力を入れており、フィジカル強化でサーブやストローク力はさらに磨きがかかったことも混合ダブルス優勝への原動力になった。

東京五輪はダブルス2種目に出場、次の夢はパリ

米国で生まれ育った柴原は2016年全米オープン・ジュニアの女子ダブルスで優勝した実績がある。カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)に進学し、2019年プロ転向して大学は休学。昔から日本で暮らす祖父母に東京五輪で日本代表としてプレーする姿を見せたかった夢があり、2019年夏に日本国籍を選択した。

目標だった東京五輪はダブルス2種目に出場し、青山修子と組んだ女子ダブルスでまさかの1回戦負け。マクラクラン勉と組んだ混合ダブルスでは8強に進出した。

次の夢は2年後のパリ五輪でもある。パリのローランギャロスは五輪会場でもあり、赤土のセンターコートでトロフィーを掲げた夢の再現を狙う。

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