マイアミ・オープン準優勝で35位に浮上
テニス女子の元世界ランキング1位、24歳の大坂なおみ(フリー)が長期休養を経て、完全復活への階段を一歩ずつ上がっている。
4月2日、マイアミ・オープンの決勝で強豪のイガ・シフィオンテク(ポーランド)に4-6、0-6で敗れ、2021年2月の四大大会、全豪オープン以来となる優勝を逃したものの、持ち前の力強いサーブとラリーが戻ってきた。世界ランキングは77位から35位に浮上。特にパワフルなバックハンドは「最強時代」と比べてもさらなる進化を遂げている。
女子ツアーを統括するWTAの公式サイトによると、大坂は「世界トップのイガはこれまで対戦してきた選手とはかなり違っていたので、彼女がやっていることに対応するのは少し大変だった」と振り返りつつ「いつもならロッカールームで泣いていたりするけど、今は冷静になっている。もっとうまくなりたい気がするし、次の大会では優勝できるように、また練習を始めたい」と前向きにコメント。
会場のスピーチでも笑顔を振りまき、ファンに感謝の言葉を伝えるなど、精神面をコントロールできるようになってきたのは大きい。
来年までに世界1位へ
大坂にとって、2021年はメンタルに課題を抱えた波乱のシーズンだった。四大大会第2戦、全仏オープンで「うつ」症状を突然告白してシングルス2回戦を棄権。「2018年の全米オープン以降、長い間うつに悩まされてきた」とメンタル面の不調を吐露した。聖火リレーの最終走者の大役を務めた東京五輪は3回戦で敗退し、9月の全米オープン後に長期休養に入った。
復帰した今季はBNPパリバ・オープンで観客の口汚いやじに涙して敗れ、精神面の不安定さが再び懸念されたが、ここへきて完全復調してきた様子だ。「今年の終わりには10位以内に入りたい。そして来年までには1位になっていたい」とコメントした上で「大げさな話ね。近いうちにトップ5かな。でも目標はナンバーワンよ」と素直な心境を語った。
「何かを追いかけるのはなんだか気持ちがいいもの。結果が全てじゃない。私にとってNO.1というレベルがどこなのか、自分がそこに到達できるのかを見つけることができるのは、とてもクールなことだと思う」と自信が芽生えている。
苦手のクレーコートにも王者ナダルを教材に準備
今後は苦手とする欧州でのクレーコート・シーズンに入る。得意とするハードコートより球足が遅い赤土では、強打で押し切る展開に持ち込みづらい。長くなるラリー戦に耐える運動量が課題となる。
大坂はクレー王者のラファエル・ナダル(スペイン)の名前を挙げ「ナダルのビデオをたくさん見てどう動くのか準備しなくちゃ。クレーコートは学ぶことがまだまだ多い。私は学生」と前向きな姿勢を取り戻している。「早めに欧州に入ってクレーの練習を積む」と対応の必要性を口にし、4月下旬からマドリード・オープンに参戦する予定だ。
「テニスを純粋に楽しみたい」と原点に戻り、精神的にたくましくなった大坂が赤土でどんなプレーを展開するのか。まだ24歳。巻き返すチャンスはいくらでもある。
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