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【卓球】全日本選手権を制した宇田幸矢、Tリーグでも田添健汰とペアで5連勝

1月26日の岡山リベッツ戦に出場した木下マイスター東京の宇田幸矢
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Ⓒマンティー・チダ

邱建新総監督「トップ中のトップです」

新たな全日本王者が誕生した。全日本卓球選手権男子シングルスで2018年世界ジュニア選手権男子シングルス銀メダルの宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)が張本智和(木下グループ)をゲームカウント4-3で下して初優勝。これまでも2018年世界ジュニア選手権の他、2019年世界ジュニア選手権混合ダブルスでは木原美悠(JOCエリートアカデミー)とのペアで優勝を遂げていた。宇田は全日本を制したことで、3月に韓国・釜山で行われ世界選手権日本代表に選抜されることになった。

宇田は高校3年生。決勝は高校1年生の張本が相手だった。「勝てるとは思わなかったが、自分から攻めることを考えていた」と試合後にコメントするほど、強気に攻めていた。サウスポーから繰り出されるフォアハンドとチキータレシーブは入りだすと誰にも止められない。Tリーグ木下マイスター東京・邱建新総監督も「トップ中のトップです」と能力を認めている。

田添健汰とのペアで5連勝、全日本ダブルスを制した三部航平もお手上げ

全日本選手権を制した翌週、宇田の姿は横浜文化体育館にあった。Tリーグ木下マイスター東京の一員として岡山リベッツと対戦し、第1マッチのダブルスに田添健汰とペアを組んで出場。宇田/田添健ペアはこの試合まで無傷の4連勝で負け無しだった。相手は過去に全日本選手権男子ダブルスで優勝経験のある森薗政崇/三部航平ペア。三部は今年の全日本選手権で及川瑞基(専修大学)とペアを組んで男子ダブルスで優勝していた。年末で対戦した時は宇田/田添健ペアが接戦の末に勝利していた為、今回も接戦が予想されていた。

出だしから岡山・三部のショットアウトもあってペースを掴むと、宇田がバックをしっかり決めてリードを広げる。岡山も三部がロングサーブとカウンターで追いすがるものの、宇田/田添健ペアが11-6で先制する。第2ゲームは、一転して宇田のミスショットから岡山にリードを奪われるが、3-5から宇田がフォアドライブを決めるなど5連続得点で逆転に成功。結局このまま逃げ切って11-8で第2ゲームを奪い、ゲームカウント2-0で宇田/田添健ペアが勝利を収めた。

「初心を忘れず出だしからしっかりプレーをしました」と全日本選手権を制した気負いは宇田には無かった様だ。「全日本選手権を制したことで自信にはなりましたので、自分から攻める事ができました」と常に攻める姿勢を強調する。

これで田添健とのペアは5連勝。「初めて組んだ時よりは明らかにコンビネーションがすごく良くなったかな。ラリーになってからお互いにフォアで動ききれるので、最後にはパワーで圧倒できる」と自分たちの成長と強みを語った。「前回競り負けていて、今回違う事をしようと考えていたが、隙が無くて何やっても強いという印象があった。前回も今回も出来は良かったのに負けたということは相手の方が実力は上なのかな」と対戦相手の三部もお手上げだった。

1月26日の岡山リベッツ戦に出場した木下マイスター東京の宇田幸矢(手前)と田添健

Ⓒマンティー・チダ

「ダブルスは自分の役目として勝つつもりでした」と宇田はKM東京における自分の役割を認識する。同じチームには東京オリンピック候補選手である、張本智和、丹羽孝希、水谷隼が在籍。宇田が全日本選手権男子シングルスを制したことで、より一層個に磨きがかかった状態だ。

邱建新総監督もこの日の勝因として「最初のダブルスが良かった」とシングルスを差し置いて、ダブルスの勝利を喜んだ。昨シーズンはダブルスで負けてからシングルスで取り返すという展開が多くあった為、邱総監督も「ダブルスを勝った後の試合がすごく楽に感じます」と思わず本音を漏らすほどだ。

さらに「チキータは素晴らしいです。チキータが入り始めたら、90%の確率で点数になっています。宇田がレシーブをするときは相手にプレッシャーをかけることができます」と絶賛する。

ペアを組む田添健についても「元々ダブルスがうまい。宇田選手や外国籍選手と組むことで思い切ってやれている。今シーズンからダブルスの練習を多くさせている」とこちらも評価が高い。

宇田は全日本を制したことで、友達やファンから多くの祝福を受けていて、自身のSNSもフォロワーが増えていた。そして、実家の卓球場もユニフォームの袖に付けていたこともあって「とても喜んでいた」と宣伝になったようだ。

4月からは卓球界の名門明治大学に進学が決まっている。水谷や丹羽ら多くのトップ選手がOBとして名を連ねる。そして4年後の2024年パリ五輪は大学を卒業する時期にあたり、当然ながら代表を狙える位置にあたる。

「今年は世界ランキング30位以内にしたい(世界ランキング1月度は54位)」と宇田は目標を掲げていた。少しずつ成果を残せば、4年後のこの時期には日本代表の有力候補に名前が出てきてもおかしくはないだろう。