大相撲春場所12日初日
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)は12日に初日を迎える。今場所最大の注目は、初場所で3度目の優勝を果たした大関・貴景勝の綱取りだろう。
一人横綱の照ノ富士が休場したため、15日間、結びを務めた初場所は12勝3敗。令和2年11月場所以来、13場所ぶりの賜杯をつかみ、一人大関としての責任を果たした。「結婚してから初めての優勝だったので嬉しいです」と優勝インタビューで答える姿は、相当な重圧を感じていたことをうかがわせた。
こうなると俄然、綱取りに期待が高まる。故郷の兵庫県芦屋市に近い大阪場所では、東前頭13枚目だった平成29年に11勝4敗で初めての三賞となる敢闘賞に輝いた実績もある。年齢的にも26歳と脂が乗る時期で、稀勢の里以来の日本人横綱誕生へ機運が高まっている。
稀勢の里は優勝1回、3場所合計36勝で横綱昇進
横綱昇進の条件は「大関の地位で2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」。最近の横綱昇進力士の直前3場所成績は下表の通りとなっている。
貴乃花は2場所連続全勝優勝して3場所合計41勝を挙げ、文句なしの昇進を決めたが、横綱昇進までに7度も優勝するなど慎重論が根強かった背景があった。
逆に曙、若乃花、稀勢の里は36勝で昇進。曙と若乃花は2場所連続優勝しているが、稀勢の里は優勝1回のみ。貴景勝は2場所合計で24勝を挙げており、初場所で12勝3敗でも3場所合計36勝に届く。「12勝では…」と不満が残るかも知れないが、優勝すれば異論は出ないだろう。
V逸なら14勝が必要?
問題は優勝を逃した場合だ。過去にも「準ずる成績」という曖昧な表現がたびたび議論を呼んできた。稀勢の里の例はあるものの、V逸で12勝だと昇進は厳しいと見られる。
横綱昇進力士の直前3場所成績で共通するのは、全員が一度は13勝以上をマークしていること。やはり貴景勝も13勝が最低ノルマと言えるだろう。
貴景勝と同じ星取だった照ノ富士は関脇時代から2場所連続12勝3敗で連覇を果たし、直前場所は14勝1敗だった。千秋楽で白鵬に敗れて優勝は逃したが、堂々の横綱昇進となった。
貴景勝の過去最高成績は、優勝した平成30年11月場所と令和2年11月場所の13勝2敗。14勝はハードルが高いが、仮にV逸でも14勝すれば横綱昇進となる可能性は高いのではないか。
大横綱・白鵬が引退し、最近の角界は話題が乏しい。初場所を全休した照ノ富士の出場可否も気になるが、いずれにせよ、貴景勝にとって大チャンスであることは間違いない。
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