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大相撲最年長関取の変遷、減りゆく昭和生まれ…松鳳山の引退で玉鷲が最年長

2022 7/15 06:00横尾誠
イメージ画像ⒸYuka Tokano/Shutterstock.com
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ⒸYuka Tokano/Shutterstock.com

37歳7カ月の玉鷲

開催中の大相撲名古屋場所でベテラン玉鷲が5日目を終えて3勝2敗と白星先行している。一時ほどの強さはなくなったが、3場所連続で照ノ富士から金星を挙げており、まだ若々しい相撲を取り続けている。そんな玉鷲は松鳳山の引退に伴って今場所から関取最年長力士となった。

玉鷲は昭和59年11月16日生まれで現在37歳7カ月。先場所を最後に引退した松鳳山が昭和59年2月9日生まれ。引退時で38歳2カ月だったので、少しだけ最年長が若返ったことになる。関取最年長力士の変遷について見てみよう(年齢は場所開催月の1日時点)。

力士の引退が早まった昭和40年代

年6場所制が定着した昭和33年1月時点での関取最年長は廣瀬川で大正8年2月28日生まれ。当時38歳10カ月。主に幕内下位の力士で、十両に残ることが難しくなった昭和34年5月場所途中に引退した。

この時、40歳2カ月で名寄岩以来の40代関取だった。なお、40代関取は平成26年9月場所中に40歳になった旭天鵬まで出なかった記録でもある。

昭和30年代は30代後半の力士が関取最年長であることが多く、平成1桁期のNHKの解説でおなじみだった北の洋や出羽錦も関取最年長を経験した力士だ。大正14年7月15日生まれの出羽錦は39歳1カ月だった昭和39年9月場所を最後に引退。これにより大正生まれの力士が不在となった。

その後、昭和40年代に入ると力士の引退が早まる。年6場所制が定着し力士寿命が短くなったという説もあるが、昭和42年7月場所を最後に38歳2カ月の鶴ヶ嶺が引退すると、関取最年長は一気に6歳下の青ノ里になった。

この時、青ノ里は31歳9カ月。昭和45年7月場所に最年長となった大文字はこの時まだ30歳4カ月。ちなみに今場所は関取70人中27人が30歳4カ月より上の年齢なので、今の力士に当てはめてみればベテランとは到底呼べない年齢と言える。

7年間も関取最年長だった高見山

昭和50年代に入ると関取最年長力士の年齢も上がってくるが、そんな中、最も長い期間、関取最年長力士として在位したのが高見山だ。

高見山は昭和52年5月場所を最後に33歳4カ月の白田山が引退すると、そこから59年5月場所まで約7年関取最年長として土俵に上がった。

高見山も関取最年長になった時は33歳0カ月だったが、「40歳まで現役を続ける」という目標は叶わなかったものの39歳10カ月になるまで関取最年長であり続けた。そして高見山の引退に伴い、戦前生まれの関取が不在となった。

平成の時代に入り、平成初期に長らく関取最年長力士だったのが霧島だ。霧島は平成4年9月場所に33歳4カ月で関取最年長となった。特筆すべき点はこの時に霧島は大関に在位していた点だ。

関取最年長が関脇、小結といった三役に在位することはあっても大関には至らず、幕内中下位のベテランが多かった。霧島も晩年は大関から陥落し平幕での土俵が長かったが、大関として関取最年長を務めたのはこの霧島と後に出てくる魁皇のみだ。

最年少と最年長を両方経験した安芸乃島と安美錦

平成15年3月場所から3場所だけではあったが、関取最年長を務めたのが昭和42年3月16日生まれの当時35歳11カ月だった安芸乃島。出世が早かったこともあり、関取最年少だった経験もある力士だ。

関取最年少と最年長の両方を経験した力士は他に平成27年9月場所から令和元年7月場所まで関取最年長だった安美錦だけで、この両者がいかに息の長い力士だったかが分かる。

令和元年7月場所を最後に安美錦が40歳8カ月で引退した後、40代関取は出ていないが、安美錦以降、嘉風、豊ノ島、琴奨菊、松鳳山、玉鷲とそのバトンは繋がれている。

平成以降の関取最年長力士

昭和生まれの関取は11人

幕内上位で若々しい相撲を取る玉鷲の引退はまだ想像がつかないが、いつか引退の時はやってくる。その際に玉鷲からバトンを受け継ぐ力士は誰なのかは興味深い。

年齢順に引退すると仮定すれば、その次は昭和60年7月29日生まれの隠岐の海で、以下、碧山、徳勝龍、妙義龍、魁聖と続く。

昭和生まれの関取も11人となった。数年後には昭和生まれの関取不在の時も来るだろう。最後の昭和生まれ関取が誰かというのも興味深い。長く土俵を務めるベテランの存在にも注目していきたい。

昭和生まれの現役関取


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