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新大関・御嶽海に期待される「昇進後3場所33勝」と横綱戦勝利

2022 1/27 06:00横尾誠
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栃ノ心・貴景勝・正代は新大関場所で途中休場

大相撲初場所は御嶽海が3回目の優勝を果たし、大関昇進を決めた。

大関昇進の目安とされる3場所33勝に達し、優勝も果たしたのだから文句ない大関昇進だろう。そして初場所は貴景勝と正代の大関が負け越し春場所は角番になることで、より一層御嶽海への期待は高まる。

だが、新大関を祝う声が多い中、これまで関脇で8勝、9勝が多かった御嶽海に対して、大関に上がったらまた関脇時代の成績に戻るのではないかと懸念する声も少なからずある。特に最近は大関が結果を出せていないために、不安を抱くのも理解できる。

特に気がかりなのは、この5年間で大関に昇進した高安以降の大関5人のうち3人(栃ノ心・貴景勝・正代)が新大関の場所は途中休場となり、高安も2場所目、朝乃山も3場所目に途中休場している。土俵の上で勝っていくことは大関にとって重要なことだが、まずは休まないで場所を全うし続けることも求められそうだ。

だが、大関としては出場していればよいというわけではない。大関にふさわしい成績が求められる。実際の数字で見れば平成以降の大関の1場所平均勝利数は8.6勝。15日間皆勤した大関で見ても9.8勝なので、常時2桁勝利を期待するのはハードルが高いと言える。

それでも平成以降の大関昇進者は最低でも3場所合計32勝以上の成績を挙げて昇進しているが故、それだけの成績を残せる力士と評価されてしまう。さらに、最近は大関がだらしないという声が大きいため御嶽海にかかる期待は余計に大きくなっている。御嶽海には是非、期待に応えられるだけの成績を残してほしい。

3場所合計で正代は27勝、朝乃山は28勝、栃ノ心は22勝が最高

では、近年の大関は本当にだらしないのかを数字で検証してみると、大関昇進後に3場所33勝を果たせていないことが分かる。

昨年、照ノ富士が大関に2場所在位し12勝、14勝の成績で横綱に駆け上がったが、大関3場所在位中に33勝クリアとなると、令和2年7月からの3場所で33勝を挙げた貴景勝が直近になる。

32勝まで下げても同じである。個人の最高値で見てみると、貴景勝はこの33勝が最高で、正代は令和3年1月からの27勝が最高値となっている。朝乃山ですら令和3年1月からの28勝が最高だ。

大関に昇進した際に好成績を残していることを鑑みれば、これではだらしないと思われても仕方ない。

大関の横綱戦勝利は高安が鶴竜に勝ったのが最後

最近の大関昇進者10人を見ていくと、32勝どころか30勝すらクリアできていないのが実情だ。高安も大関から陥落してしまったが、大関を務めている間に32勝までは達しており、平成後期の大関は瞬間であったとしても大関昇進時と同等の成績を残していた。

だが、現在は大関昇進時の水準にすら達していない大関ばかり。御嶽海にはまずは大関として3場所30勝をクリアし、さらにその上の数字を目指してほしい。

最近の大関10人の3場所合計最高成績


また現在の大関が情けなく見える要因の一つは、横綱に勝利する大関が出ていない点だ。そもそも昨年は横綱が出場していない場所が多かったこともあるが、令和元年5月場所に当時大関の高安が鶴竜に勝ったのが直近の大関の横綱戦白星だ。

これは年6場所制になった昭和33年以降では最長の間隔。平成4年に横綱不在期があったが、この期間を含んでいる時期でも、ここまで大関が横綱に勝てないことはなかった。

いくら大関が横綱より下の地位とはいえ、大関の横綱戦の勝率は平成以降では232勝519敗で.309になる。3回に1回程度は横綱に勝てるはずなのだ。

横綱を倒せる大関がいないため、大関が弱いと言われてしまうのも必然だろう。特に正代に至っては大関昇進後に対大関戦も0勝6敗と全敗だ。これでは厳しい声が出てきても仕方ない。

御嶽海にかかる期待はもっと大きなものかもしれないが、3場所合計で32勝以上の成績を残していくことと横綱戦勝利が最低限の目標になってくるだろう。そして、それをクリアすることでさらに上を目指してほしいところだ。

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