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照ノ富士が夏場所も優勝する可能性が高い理由、3大関に圧倒的強さ

2021 5/13 06:00佐藤文孝
照ノ富士Ⓒ2630ben/Shutterstock.com
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Ⓒ2630ben/Shutterstock.com

直近3場所の本割では3大関に全勝

大相撲の令和3年夏場所は21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士が、初日から強さを発揮している。照ノ富士に加え、貴景勝、朝乃山、正代の3人の大関も優勝争いの中心としての活躍が期待されているが、ここ数場所を振り返ると、4大関の中で照ノ富士が他の3人に対しての合口の良さが際立っている。横綱白鵬不在の今場所、大怪我を克服し大関に返り咲いた勢いに乗る照ノ富士が連覇を果たせるか、注目が集まっている。

夏場所も初日から明生、北勝富士、翔猿、御嶽海に4連勝。懐の深さで上回る照ノ富士が相手を捕らえる内容が多く、余裕を感じさせる相撲で大関としての風格も十分だ。

先場所、千秋楽までの3日間で大関陣を撃破して賜杯を手にしたことに象徴されるように、照ノ富士が他の大関に対してこれまでの場所においても強さを見せつけている。特に直近3場所では貴景勝、正代にはそれぞれ2勝、朝乃山には3勝と、本割での全対戦で白星を挙げていることからも、夏場所でもライバルたちの前に立ちはだかり主役となる可能性は高い。

照ノ富士、返り入幕以降の3大関との対戦成績


照ノ富士に対し「包囲網」を敷くべき他の3大関は、どこまで意地をみせられるだろうか。これまでの対戦を振り返ってみたい。

先場所完敗の貴景勝、カド番脱出が先決の正代

昨年11月場所では貴景勝が優勝したものの、先場所までの大関陣の相撲からはファンを納得させられる力強さが伝わってこないのが実状だ。またここ3場所とも、貴景勝、朝乃山、正代のいずれかの大関がカド番を経験していることも、連覇を狙う照ノ富士の対抗馬として不安が過る大きな要因だろう。

3度目の優勝を狙う貴景勝は、先場所の千秋楽結びの対戦では得意の突き押しで攻めるも、逆に押し出されて完敗、照ノ富士に優勝を許す結果となった。2度目の優勝を飾った昨年11月場所千秋楽でも結びで敗れており、今場所は2日目に御嶽海に土をつけられている。

大関として4場所目となる正代も、照ノ富士には何度も苦杯を喫しており、先場所、先々場所と、番付上位としての意地を見せられずに敗れている。

特に今年初場所では、終盤まで優勝争いの先頭にいながら、14日目の照ノ富士戦ではたき込みで敗れ、優勝を逃す致命的な一敗となった。照ノ富士へのリベンジを見据えるものの、今場所はカド番として迎えているため、まずは勝ち越しが最優先なのは言うまでもない。

朝乃山は苦手意識を払拭できるか

そして、照ノ富士との相性が「最悪」と言えるのが朝乃山だ。

2015年入門の朝乃山が照ノ富士と初対戦したのは、照ノ富士が怪我から復帰し、返り入幕を果たした昨年の7月場所。新大関として迎え撃つ立場だったこの時の対戦で敗れると、そこから実に5連敗を喫している。照ノ富士に対して苦手意識が植え付けられていることが明らかで、番付上同格となった今場所、朝乃山にとって越えなければならない大きな壁として立ちはだかる存在だ。

ともに取り口として四つを得意としている両者だが、体格差で上回る照ノ富士が有利な展開が続いている。先場所の対戦で朝乃山は立ち合いでもろ手突きを挑んだが、すぐに抱えられて胸が合い、まわしを取られ寄り切りで敗れている。大関という立場ながらも「奇襲」の戦い方を見せるほど、取組前から追い込まれていたことが伝わる一番だった。

現在の4人の大関陣の中で、最も優勝から遠ざかっている朝乃山。今場所も序盤で2敗を喫し、苦しい土俵となっている。2年ぶりの賜杯へは険しい道のりが続く。

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