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第50回全日本大学駅伝④ 関東地区選考会突破組にも実力校はいる

2018 10/29 07:00鰐淵恭市
ランナー,ⒸShutterstock.com
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大型ランナーがエースの法政大

各大学8人の1万メートルのタイムを合計して争われる全日本の関東地区選考会。通過した8校とそのタイムは以下の通りである。

①法政大  4時間6分9秒
②国学院大 4時間6分21秒
③城西大  4時間6分51秒
④明大   4時間7分15秒
⑤帝京大  4時間7分24秒
⑥日体大  4時間8分19秒
⑦順大   4時間8分48秒
⑧日大   4時間8分53秒

トップで通過したのはオレンジ色のたすきで知られる法政大だ。

昨季は出雲で途中棄権、全日本は10位だったが、箱根では6位でシード権を獲得。それを、全日本の関東地区選考会につなげ、チームは勢いに乗っていたが、今季の学生駅伝開幕戦となった出雲は12位とふるわなかった。

エースは190センチの長身ランナー、坂東悠汰(4年)。5000メートルでチームトップの13分47秒26の記録を持つ。ただ、今年の箱根2区では区間14位、出雲1区では15位と駅伝ではいま一つ力を出し切れていない。坂東の走りがチーム浮上のカギを握る。

坂東に加え、今年の箱根の山上りの5区で区間賞を獲得した青木涼真(3年)、1万メートルで28分35秒98の記録を持つ佐藤敏也(3年)がチームを牽引する。指導するのは、実業団のコニカ(現・コニカミノルタ)時代に世界陸上出場経験もある坪田智夫監督。学生3大駅伝での優勝経験はないが、着実に力をつけている。

チーム力で戦う国学院大

昨年の全日本11位だった国学院大が選考会を2位で通過した。全日本には4年連続の出場となる。

飛び抜けた選手はいないが、堅実さが売りのチームである。選考会は4組に分かれて走る中、国学院大は8人中6人が各組10位以内。しぶといレースを見せた。駒大時代に全日本や箱根で優勝経験があり、実業団の富士通で活躍した前田康弘監督が指導する。

エース格は1万メートルで28分51秒91の自己記録を持つ浦野雄平(3年)。今年の箱根1区で2位の好走を見せたランナーだ。浦野を中心に、過去最高の9位を上回る成績を目指す。

上向きの城西大

かつて早大三羽烏と呼ばれたうちの1人である櫛部静二監督が就任して10年目。着実に力をつけてきた城西大が関東地区選考会を3位で通過した。

昨季の学生3大駅伝は出雲には出場できず、全日本は13位、箱根は7位。8季ぶりに3大駅伝全てに出場する今季は、初戦の出雲で過去最高の8位に入った。チームは上向きである。

出雲では6人中5人が区間1桁という安定感を見せた。その中でも、1区を走った荻久保寛也(3年)が区間3位でチームを波に乗せた。今年の箱根4区区間4位の金子元気(4年)とともにチームを引っ張る。

全日本では、いまだ経験したことがない1桁順位を狙う。

シード権を狙う明大

予選会を4位で突破したのは、紫紺のカラーで有名な明大だ。

全日本ではこの10年で2位が1度、3位が2度。「古豪」から完全に復活したと思っていたが、昨季は3大駅伝に出場したのは全日本のみで、順位は15位。2年前の全日本も11位と、一時の勢いがなくなってきている。

そこで今年から指導者が変わり、実業団の旭化成で活躍した山本佑樹氏が監督に就任した。新監督のもと、全日本への出場権を獲得し、さらには10月に行われた箱根の予選会も5位で通過したのは明るい材料だ。

5000メートルで13分42秒46のタイムを持つ阿部弘輝(3年)は学生トップレベルの力を持つ。広島・世羅高時代に高校駅伝で活躍した中島大就ら、実力者はそろっている。全日本ではシード権を狙える存在と言っていい。

出雲で好調だった帝京大

関東地区選考会5位の帝京大は面白い存在だ。

昨季は全日本で過去最高となる8位に入り、箱根では4年ぶりの1桁順位となる9位と好結果を残した。勢いそのままに、今年の出雲は過去最高の5位。チームは上昇気流にある。

出雲2区区間5位の横井裕仁、畔上和弥ら、4年生がチームを引っ張るが、岩佐壱誠(3年)、星岳(2年)ら、下級生にも力のある選手がいる。全日本は上位を狙える力がある。

苦しんだ名門校たち

名門校がそろって苦しみながら、選考会を通過した。全日本優勝11度、箱根優勝10度を誇る日体大は選考会6位、2000年度に学生駅伝三冠を達成した順大は7位、全日本優勝3度、箱根優勝11度を誇る日大は8位で突破した。

日体大は昨季、出雲3位、箱根4位と結果を残したものの、主力だった4年生が卒業。さらに、シーズン直前に指導者の暴力、パワハラ問題が発覚し、監督が交代した。「逆風」が吹く中、10月の出雲は9位とまずまずの結果を残した。全日本は2年ぶりの出場となる。

一時は大学駅伝界を引っ張る存在だった順天堂大も近年は苦しんでいる。昨季は出雲こそ4位と健闘したものの、全日本は12位、箱根は11位に沈んだ。箱根はシード権を落とし、今年の出雲には出場できなかった。チームには絶対的なエースがいる。リオデジャネイロ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(4年)だ。1万メートル27分47秒87は現役日本人学生最速。塩尻だけでなく、箱根の予選会も2位で突破するなど、底力はある。

最後の枠で全日本に滑り込んだ日大は昨季、3大駅伝に一つも出場できなかった。今年の全日本は2季ぶりの3大駅伝出場となる。核となるのはケニア人留学生のワンブィ。関東インカレで3年連続5000メートル、1万メートルの二冠を達成するなど、圧倒的な力を持つ。ほかの日本選手が踏ん張り、ワンブィの走りをいかせる展開に持ちこみたい。(続く)

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