メンバー変更見据え、有力選手が戦略的に補欠
98回目を迎える箱根駅伝の区間エントリーが発表された。エースが集まる2区(23.1キロ)には順当に優勝候補のエースが集まった一方、レース当日にエントリー選手と補欠のメンバー変更が6人(1日最大4人まで)まで可能なため、有力選手が戦略的に補欠に回っている。
花の2区は今回も面白い対決となりそうだ。2連覇を狙う駒大は3年生で主将の田澤廉がエントリーされた。外国人留学生を含めても出場選手中最速の1万メートルの記録を持つだけに予想通りだろう。
駒大の対抗馬とみられる青学大もエースの近藤幸太郎を配置。前回2位の創価大は2大会連続でフィリップ・ムルワ、出雲駅伝を制した東京国際大も2年連続でイェゴン・ヴィンセントと、先行逃げ切りを図りたい2校は力のある外国人留学生をぶつけてきた。
前回3位の東洋大は、前回1年生ながら区間4位と田澤を上回る走りを見せた松山和希に今回も2区を任せる。
駒大は準エースとも言える唐澤拓海を1区(21.3キロ)に配置しており、田澤が先頭でたすきを受ける可能性がある。逃げる田澤、追う外国人留学生といった構図になるか。
Wエースが補欠の駒大、青学大は主将を補欠に
当日のエントリー変更には、監督の采配の妙が現れる。今回もエース級のランナーが補欠に回った。おそらくは、そのほとんどが戦略的に区間配置されなかったと見ていい。
補欠に回った有力校の選手たちを見ていく。駒大は田澤とのWエース、鈴木芽吹が区間配置されていない。力的には戦略的補欠と考えられるが、鈴木は脚の故障で今季は出雲、全日本とも走ることができなかった。出場は回復具合次第か。
全日本大学駅伝でアンカー勝負を制した花尾恭輔も補欠に回っている。このあたりは、指揮官たちの腹の探り合いといったところか。
青学大は主将の飯田貴之に加え、ともに駅伝に強い岸本大紀、佐藤一世が補欠に。青学大は層が厚く、選手間の力の差が少ないが、この3人は当日のメンバー入りの可能性が高い。原晋監督の采配が見ものだ。
前回2位の創価大は、前回3区(21.4キロ)で区間3位だった葛西潤が補欠だ。ただ、エントリーを見ると、今回も3区に変更される可能性はある。
4区には前回同様に嶋津雄大がエントリーしており、もし、葛西が3区に変更になれば、2~5区は往路優勝を果たした前回と同じメンバーになる。
ダークホースとも言える東京国際大は日本人エースの丹所健が補欠に回っているが、おそらく往路を走ることになるだろう。
そのほか、補欠に回っているのは、1年生ながら出雲と全日本で区間賞を獲得した東洋大の石田洸介、1万メートルでともに27分台の記録を持つ中谷雄飛、井川龍人の早大コンビがいる。
そして、東京五輪3000メートル障害で7位に入った順大の三浦龍司も補欠だった。順大のメンバーを見ると、三浦が2区を走ることもあり得そうだ。
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