柔道の谷亮子やシンクロの立花美哉、武田美保を上回る
マルチな才能に新たな勲章が加わった。
北京冬季五輪の日本選手団主将を務めるスピードスケート女子の27歳、高木美帆(日体大職)がまさに記録ずくめの活躍で輝きを放った。今大会5種目目の挑戦となった女子1000メートルでは1分13秒19の五輪新記録で優勝し、個人種目で悲願の金メダル。北京大会で500メートル、1500メートル、団体追い抜きの「銀」に続く4個目のメダルは冬季五輪の1大会で日本選手最多となり、夏を含めた日本女子の歴代最多メダルを7に伸ばした。
これまで女子の五輪メダリストは柔道の谷(旧姓田村)亮子、シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)の立花美哉、武田美保の計5個が最多だったが、高木美帆はこれを北京で上回った。
夏季五輪の女子選手ではレスリング勢もメダルを量産し、伊調馨は女子種目で初の4連覇、吉田沙保里も3連覇に銀一つと活躍。卓球の伊藤美誠(スターツ)も東京五輪で金、銀、銅のメダル3個を獲得して計4個を手にしている。
夏季大会を含め、メダル7個は水泳の北島康介、体操の内村航平ら、名だたるレジェンドに肩を並べた形だ。日本選手のメダル最多は体操男子の小野喬で13個を獲得している。
冬季五輪1大会4個も史上最多
日本選手として冬季五輪の1大会最多4個のメダルも大きな価値があるだろう。
これまで最多は金、銀、銅を獲得した前回平昌大会の高木美帆、1998年長野大会スキージャンプで金2、銀1を手にした船木和喜(フィット)らの3個だった。
夏季を含めると1大会最多メダルは体操の6個で、1960年ローマ大会の小野喬が金3、銀1、銅2、1968年メキシコ大会の中山彰規が金4、銀1、銅1と量産した。
女子は2012年ロンドン大会で競泳の鈴木聡美、昨年の東京大会で卓球の伊藤美誠(スターツ)が3個を獲得している。
スピードスケートではエリク・ハイデン(米国)が1980年レークプラシッド大会で男子5冠、1964年インスブルック大会のリディア・スコブリコーワ(当時ソ連)が女子4冠に輝いた歴史もあり、どちらも冬季五輪の1大会最多優勝として名を残している。
夏季では2008年北京大会で競泳の「怪物」マイケル・フェルプス(米国)が金メダル8個の金字塔を打ち立てた。
ミラノ・コルティナダンペッツオ五輪で不滅の大記録に期待
海外に目を向けると、五輪のスピードスケート女子で通算7個以上のメダル獲得者は前回大会までに5人。その大半が1500メートル以上の中長距離での複数メダルだ。高木美帆のように短距離の500メートルを含む3種目以上でメダルを量産した経歴は異色といえる。
高木美帆は1500メートルの世界記録を持ち、1000、3000メートルの日本記録保持者でもある。年齢を考えれば、4年後のミラノ・コルティナダンペッツオ五輪へさらにメダルの上積みも期待できる存在。不滅の記録を作り出すかもしれない。
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