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主将・高木美帆はジンクスにも動じず、北京の「顔」が歴史的な五輪5種目に挑む

2022 2/5 17:00田村崇仁
日本選手団の主将を務めるスピードスケートの高木美帆,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

小平奈緒は冬季五輪の主将で初の金メダル

2月4日に開幕した北京冬季五輪に臨む日本選手団はスピードスケート女子で27歳の高木美帆(日体大職)が主将に選ばれ、開会式で旗手の大役はスピードスケート女子の郷亜里砂(イヨテツク)とノルディックスキー複合男子の渡部暁斗(北野建設)が務めた。

歴史的に「魔物」がすむと言われる五輪。かつては重責を担う主将は活躍できないというジンクスもあったが、それを打ち破ったのが前回2018年平昌冬季五輪で主将だった小平奈緒(相沢病院)だった。スピードスケート女子500メートルを制し、冬季五輪では主将として初の金メダルに輝いた。

今回、短距離から長距離まで世界記録を保持する1500メートルや2連覇に挑戦する団体追い抜き、500、1000、3000メートルの5種目に挑戦する高木美に動じた様子はない。結団式では「15歳で初めて五輪に出場してから12年。主将として北京五輪に出場できることを誇りに思う。12年前は先輩の背中を見てひたすら走っている状態だった。私が若手を引っ張っていけるようにしたい」と決意を表明し、背中で日本チームをけん引する覚悟を示した。

東京大会では山縣亮太主将がまさかのバトンミス

日本選手団の主将といえば、選手団を代表して取材を受けるほか、東京五輪では開会式で選手宣誓の大役も担った。東京大会の選手団主将で陸上男子100メートルの山縣亮太(セイコー)は自らの日本記録から0秒20遅いタイムで予選落ち。期待された400メートルリレーでは、1走から2走の山縣へまさかのバトンが渡らないミスで途中棄権した。

過去の冬季五輪でも国内開催で主将が選手宣誓を担当し、1972年札幌大会ではスピードスケートの鈴木恵一、1998年長野大会ではノルディックスキー複合の荻原健司が務めた。1994年リレハンメル大会はスピードスケートの橋本聖子、2014年ソチ大会はスキー・ジャンプの葛西紀明が大役を担った。

冬季五輪の歴代主将

コーチ陽性も動じず、歴史的な五輪5種目に挑戦

北京五輪の「日本の顔」として期待される高木美は「最初から最後まで力強くありたい」と結団式で決意表明した。スピードスケートの1大会5種目出場は1988年カルガリー大会、1992年アルベールビル大会の橋本聖子らに並ぶ歴史的な偉業への挑戦。前回の平昌冬季五輪で高木美は4種目に出て、「金」「銀」「銅」のメダルを一つずつ獲得した。

北京大会では大会直前にスピードスケート日本代表で、高木美らを担当するヨハン・デビット・コーチ(オランダ)が新型コロナウイルスの検査で陽性となり、隔離措置を受けていると自身のツイッターで明かした。スケート「王国」オランダ人の同コーチは2015年からナショナルチームを率い、2014年ソチ五輪でメダルなしに終わった日本スピードスケート陣を、2018年平昌五輪で金3個を含むメダル6個を獲得するなど躍進させた立役者でもある。

それでも「スーパー中学生」とかつて呼ばれた天性のスケーターは動じることなく、1レース、1レースに集中力を高める。世界も認めるオールラウンダーの挑戦が始まった。

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