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世界統一リーグ「ワールド・スーパーリーグ」の実現可能性を探る 地球規模で通年リーグ開催は出来るのか サッカー世界統一リーグ構想③

2020 2/13 11:00Takuya Nagata
イメージ画像ⒸWetzkaz Graphics/Shutterstock.com
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地球規模で通年リーグ開催は出来るのか

世界サッカークラブ協会(WFCA)が、国際サッカー連盟(FIFA)に非公式に提案したとされる、世界全体を巻き込んだワールド・スーパーリーグ。果たして、そのような大会が実行可能なのだろうか。

世界各国のクラブが参戦するといえばクラブワールドカップだが、これはリーグではなくトーナメント戦であり、ホスト国に集まり短期間の集中開催を行っている。しかし、1年間を通してリーグ戦を行うことになれば、この方法は現実的ではない。

仮にホーム&アウェー方式だったとしても、日本のクラブが選手共々、リーグ開催期間中の半分を国外で過ごすことになると、大半の日本のファンはスタジアム観戦ができず、放送を頼るほかなくなる。

現在ある広域大会は、様々なフォーマットを採用

現在、存在する広域大会を見比べると、何かヒントが得られるかもしれない。

ブラジルでは、国土が広大なため、元々リーグ戦は州単位で行っていたが、 コパ・リベルタドーレスに出場するブラジル王者を決める必要があったため、それ以来ブラジル全国選手権(カンピオナート・ブラジレイロ)を開催し、今日ではセリエA20クラブによるホーム&アウェー方式のリーグ戦で順位を決定している。

中国スーパーリーグは、16チームによるホーム&アウェー2回総当りのリーグ戦だ。日本の国土の20倍以上ある国々でも、全国リーグは可能なようだ。

サッカー以外にも目を向けてみると、アメリカのスポーツで特徴的なのが、フランチャイズとカンファレンス制だ。米国メジャーリーグサッカー(MLS)では、イースタン・カンファレンスとウェスタン・カンファレンスの2つに分かれてリーグ戦を行い、上位チームがMLSカッププレーオフに進出する。

アメフットのNFLでは「アメリカン・フットボール・カンファレンスの東・西・南・北」と「ナショナルフットボールカンファレンスの東・西・南・北」のそれぞれ4チーム、あわせて32チームがレギュラーシーズンで順位を決める。そしてポストシーズンで、上位チームによるプレーオフを行う。

ブラジルと中国が統一のリーグ戦を行っている一方で、MLSは2つにカンファレンスをわけている。NFLについては、同じアメリカのフットボール競技でも、カンファレンスを8つ(4地域)設けており、かなり様子が異なる。

ワールド・スーパーリーグはスーパーラグビーに近い

ラグビー界を見てみると、スーパーラグビーという世界最高峰の広域大会がある。南半球のニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンが構成する運営団体サンザー(SANZAR)が主催している。日本のサンウルブスは2016年に参戦したが、2020年を最後に脱退することが決まっている。

大会形式は、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカを中心に複数のカンファレンスにわかれて、各カンファレンス約5チームの間で順位が決まると、上位チームがファイナルシリーズに進出する。

以前は、2回総当りで、上位2チームがファイナルを行うこともあった。やがて、チーム数が増えるにつれて、広大な南半球の国々を行き来する負担に選手たちが悲鳴を上げ、地元での試合数を増やす現在のフォーマットが採用された。

ペレスWFCA会長がインファンティーノFIFA会長に提案したとされるワールド・スーパーリーグは、開催地域の規模的には、スーパーラグビーが一番近いだろう。

しかし、北半球もあわせた全世界となると、更に倍になる。完全なホーム&アウェーの2回総当りより、スーパーラグビーのような、カンファレンス制が現実的かもしれない。


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