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新型コロナウイルスの影響で1年延期されたサッカーの欧州選手権（ユーロ2020）が6月11日から24チーム参加で開幕し、欧州各地となる11都市の広域開催で行われている。
当初は12都市開催の予定だったが、ビルバオ（スペイン）とダブリン（アイルランド）が新型コロナの影響で観客を入れた試合が保証できないことから断念。ビルバオで予定された試合はスペインのセビリアで、ダブリンで予定された試合は開催都市に含まれていたサンクトペテルブルク（ロシア）とロンドンに分散された。
ファンの渡航は困難となるが、会場が分散されるためコロナ感染が一極に集中するリスクは抑えられ、入場にはワクチンの完全接種の証明書や72時間以内の陰性証明書も求められる。約1か月間の「祭典」ユーロは、やはり1年延期されて7月に開幕する東京五輪の試金石にもなりそうだ。
6月15日、ハンガリーの首都ブダペストで行われた1次リーグのハンガリー―ポルトガル戦は6万人収容のスタジアムに満員の観客が詰めかけ、前回王者のポルトガルがクリスティアーノ・ロナウドの2得点などで3―0と好発進した。
国によってコロナ規制が異なるため、各会場の収容率には差がある。唯一収容率を100％とするブダペストなど、一部の開催地では入場券があれば入国時に義務付けられる自主隔離が免除されている。
最多8試合が行われるロンドンのウェンブリー競技場は25％の2万2500人が入場可能。英政府が目指すイングランドの規制解除を大会中に実現すれば、準決勝と決勝は上限を4万5000人に引き上げる可能性もある。
会場はアルファベット順でアムステルダム（オランダ）、バクー（アゼルバイジャン）、ブカレスト（ルーマニア）、ブダペスト（ハンガリー）、コペンハーゲン（デンマーク）、グラスゴー（スコットランド）、ロンドン（イギリス）、ミュンヘン（ドイツ）、ローマ（イタリア）、サンクトペテルブルク（ロシア）、セビリア（スペイン）の11都市。選手は16強進出まで、欧州の各都市に移動するが、ここが東京にほぼ一極集中の五輪と違う点だろう。
コロナ対策の特別規定も設けられ、選手の感染に備え、各代表の登録メンバーは従来の23人から26人に増加。チーム内で複数選手が隔離対象となった場合にGK1人を含む13人以上がそろわなければ主催者が試合を延期する権限を持つ。日程調整が不能と判断された場合は、当該チームは不戦敗となるルールだ。
審判員の感染を想定した特例措置で、出場チームと同じ国籍の審判が代わりに担当する可能性も明記されている。こうした対策は特にチームスポーツでは、東京五輪でも参考になるかもしれない。
一方、欧州でワクチン接種が進んでいるとはいえ、選手の陽性者が相次ぎ、混乱も生じている。スペイン代表は主力MFセルジ・ブスケツが新型コロナ陽性と診断され、さらに複数選手も陽性となってチーム編成に大きな影響が出ている。
24チームは2週間前に準備を開始し、外部との接触を極力避けた「バブル方式」で健康管理を徹底しているが、スウェーデン代表FWデヤン・クルゼフスキ、ポルトガル代表のDFジョアン・カンセロら感染者は相次ぐ。
厳格な制限下でストレスの溜まる生活に選手から不満の声も出ている。
海外のスポーツ界では観客の制限緩和の動きが広がり、大リーグでは7月中旬までに全30球団のうち半分以上が満員の観客を受け入れる予定。昨季のレギュラーシーズンは無観客だった。
テニスの四大大会、ウィンブルドン選手権（英国）の主催者は6月下旬の開幕以降は観客数の上限を50％とし、男女シングルス決勝を実施する大会終盤の週末はセンターコートで100％を入れると発表した。
プロ野球やJリーグなど国内のスポーツでも制限付きながら観客を動員し、今のところ目立ったクラスター（感染者集団）は発生していない。東京五輪・パラリンピック組織委員会は、政府が緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除された後の大規模イベントの観客数上限の方針を決めたことを踏まえ、会場の定員50％以内であれば、1万人を上限とする政府の方針に準じる方向で、東京大会に観客を入れて開催する方向で調整に入っている。
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