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【ラ・リーガ】ヘタフェ久保建英がレアルで活躍するための2つの課題

2021 1/24 11:00桜井恒ニ
久保建英Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ビジャレアルで不運重なり…ヘタフェ移籍

久保建英は今季、ビジャレアルにレンタル移籍し、昨季を上回る活躍を期待された。当初は獲得を熱望したと言われるウナイ・エメリ監督の下、右サイドやトップ下で一定のプレイ時間を確保すると見込まれていた。

しかし、リーガ・エスパニョーラ第3節のバルセロナ戦での大敗を受けて、チームはガラリと戦術変更。トップ下のポジションがなくなった。これを受けて久保は、ナイジェリア代表のサムエル・チュクウェゼのみならず、スペイン代表FWにしてチームのエースであるジェラール・モレノともポジションを争う状況ができ上がってしまった。

仮にモレノと別ポジションで出場できても、モレノは右へ流れてプレイする傾向がある。プレイエリアが重なり、久保がエースに場所を譲る場面も少なくなかった。

久保は、シーズン序盤に左サイドでも度々出場していた。しかし、冬になると下部組織出身の18歳ジェレミ・ピノが左サイドで台頭し始め、ここでも出場機会が減少する。

さらに、第13節のレアル・ベティス戦でMFビセンテ・イボーラが左十字靭帯を断裂。長期離脱を強いられる。そこでメキシコへレンタル移籍中のアルゼンチン人MFサンティ・カセレスを呼び戻す案が浮上。埋まっていた外国人枠(1チーム3人)のうち、誰かを外す必要が生じた場合、久保がその犠牲になる……というスペインメディアの予想が打ち出された。

それまで久保は、チームの守備戦術の遂行などが課題に挙がっていた。が、さまざまな不運とチームの思惑が積み重なり、もはや課題克服のために試合に出ることすらままならなくなり、ついにヘタフェ移籍を決意した。

移籍後2試合は評判上々 指揮官の方針転換&同時加入の選手がプラス作用

加入後すぐの第18節エルチェ戦に、久保はチーム練習なしのぶっつけ本番で後半64分に出場。相手に退場者が出て数的有利な状況とはいえ、2度の決定的シーンを作り出してすぐに監督の信頼をつかんだ。

続くウエスカ戦では右サイドハーフで先発を果たし、攻撃で随所に持ち前のテクニックを発揮しつつ、守備のタスクもしっかりこなして1-0の勝利に貢献。評判は上々だ。

ゴール前まで戻る守備意識の高さを見る限り、ビジャレアル時代の課題は消化されつつあり、次節以降も先発出場が予想される。

久保がヘタフェですぐに活躍できた要因の一つは、ホセ・ボルダラス監督の方針転換にある。

それまでボルダラス監督は思うように勝ち星を増やすことができず、解任もささやかれていた。

そこで冬季の移籍期間に久保とバルセロナのMFカルレス・アレニャを獲得。左サイドのMFマルク・ククレジャも含めて、バルセロナ出身者トリオの中盤を形成させ、ロングパス主体のリアクションサッカーから変化を見せる。ウエスカ戦では、久保がトップ下のアレニャらと小気味良いパス交換を行う場面もあった。バルセロナで叩き込まれたプレイ感覚の影響か、やりやすそうな印象を受ける。

そのアレニャは、同時加入というタイミングもあってか、久保へのパス供給をいとわない。信用できる選手と認められるまでパスが来ない……という心配がない分、久保は不要なフラストレーションを貯め込むこともないだろう。

あとは攻撃面の数字だけ 課題はフィニッシュの精度とPA侵入

守備も及第点以上のパフォーマンスを見せた今、久保に求められるのは攻撃面での数字だけだろう。しかし、それを相手チームの“久保シフト”の守備が阻むかもしれない。

例えばDF1人がキーマンの久保に対峙し、さらに久保の左足でのプレイを警戒してもう1人のDFがスタンバイする。場合によっては3人で久保を囲む。マジョルカ時代によく見た、おなじみの守備だ。ヘタフェでもこれが生じている。

テクニシャンが多いスペインで久保の実力が認められている証拠ではあるが、これを打破しない限り結果を出すのは難しい。すでに、ボールの置きどころさえ良ければ3人の守備網を突破する力はあるので(これだけで十分凄いことだが)、アシストやシュートに類するフィニッシュの精度をより高める必要がある。

加えて、ボルダラス監督がウエスカ戦後に指摘したように、久保はマジョルカ時代から、フィジカルコンタクトを恐れてか(あるいは綺麗なラストパス・フィニッシュを求めてか)ペナルティエリアにあまり入らない傾向がある。今後ペナルティエリアへの侵入が増えれば、久保の力量なら自ずと結果を出してくれるはずだ。

ペナルティエリア侵入回数を増やし、フィニッシュの精度を向上させれば、現レアル・マドリードで右サイドを担うマルコ・アセンシオやルーカス・バスケスらに引けをとらないレベルに達するだろう。

とはいえ、過去にスペインで成功した日本人の例と言えば、日本人初のリーガ100試合出場を果たした乾貴士(エイバル)など数える程度。19歳の久保にはあり余る期待が寄せられ、攻守にわたって高度な要求がされていることは間違いない。

それでもレアルへの帰還と活躍、将来の日本代表の牽引などを夢見るファンは多いだろう。ヘタフェでの成功がそれらの足がかりになることを願い、夜更かしして久保の試合をウォッチする。これまた楽しからずや。

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