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川淵三郎氏は即断即決のリーダー、ミスター以来スポーツ界3人目の文化勲章

2023 11/21 06:00田村崇仁
川淵三郎氏,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

Jリーグ初代チェアマン、バスケBリーグ創設

Jリーグ初代チェアマンで元日本サッカー協会(JFA)会長(キャプテン)の川淵三郎氏(86)が10月、2023年度の文化勲章を受章した。スポーツ分野からは「フジヤマのトビウオ」の異名をとった水泳の故古橋広之進氏、プロ野球・読売巨人軍終身名誉監督の「ミスタープロ野球」長嶋茂雄氏に続く3人目。川淵氏のほか作家の塩野七生氏、狂言師の野村万作氏ら7人が選ばれた。

危機的状況だったバスケットボール界の改革でも先頭に立ってBリーグ創設に尽力し、スポーツの普及発展に多大な功績を残してきた川淵キャプテンといえば、リーダーに求められる決断力と実行力の人。

Jリーグ開幕から10年後にスタートしたラグビーのトップリーグで初代チェアマンを務めた真下昇氏も「あの人の即断即決と行動力は我々から見てもすごいのひと言。こうと決めたら、社会を巻き込んでやりきる突破力がある」と称賛する。

川淵氏はJFA公式サイトを通じ「Jリーグ開幕30周年という記念すべき年にこのような章をいただいたことは身に余る光栄」と感謝し「JリーグやBリーグを立ち上げたということがあったとしても、それを支えてくれる企業・団体、クラブ、ファン・サポーターらがいなかったら僕がこの栄誉に浴することはなかった」と喜びを語った。

百年構想、スポーツを「文化」にした立役者

1993年に開幕したJリーグの開会宣言で川淵氏は「スポーツを愛する多くのファンに支えられ、Jリーグがきょうここに大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します」と語った。

大きな夢とは「百年構想」を意味し、そのスローガンは「スポーツで、もっと、幸せな国へ」。10クラブで始まったJリーグは地域密着を理念に掲げ、30周年を迎えてJ1、J2、J3で計60クラブに拡大した。

誰もが気軽にスポーツを楽しめるような環境が整ってはじめて、豊かなスポーツ文化は育まれる。そんな地域貢献活動の全国的な波及が評価され、川淵氏は「この章が創設された当時は『スポーツ文化』が語られることなどなかったが、今は『スポーツを見る、する、支える』ということが国民的規模で広がりつつある。『スポーツ文化の振興』というところで評価されたことが何よりもうれしい」とコメントに実感を込めた。

ゴルフでは「エイジシュート」達成と80代でも意気盛ん

大阪府出身で三国丘高―早稲田大商学部―古河電工と進み、サッカー日本代表FWとして国際Aマッチ26試合8得点。1964年東京五輪ではアルゼンチン戦で貴重なゴールを決め、8強入りに貢献した。引退後は日本代表監督も務めている。

80代になった今もその眼光は鋭く、意気盛んだ。昨年秋には自身のSNSで趣味のゴルフで「エイジシュート」を達成したと報告。エイジシュートとはゴルフの1ラウンド(18ホール)を自身の年齢以下の打数でプレーすることだが、当時の年齢より1つ少ない84(アウト39、イン45)でホールアウトしたという。筆者も定期的に開かれる「キャプテンズカツプ」に参加させてもらったことがあるが、ゴルフの腕前もプロ並みである。

複数の団体競技をまとめる日本トップリーグ連携機構の会長を務め、東京五輪・パラリンピック選手村村長も歴任した。最近はSNSでもスポーツ界への意見を積極的に発信する。

文化勲章を受章した際には「何よりスポーツを文化として認めてもらえたことが一番嬉しいです。それはとりも直さずクラブやファンサポーターの皆さんがスポーツを通じてボランティア活動など社会を活性化して下さったお陰です。おこがましいですが皆さんを代表して受賞させて頂きます」(原文ママ)と感謝の気持ちをつづった。

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