ACL、ルヴァン杯で次々敗退
明治安田生命J1リーグで首位に立つ横浜F・マリノスに異変が生じている。
8月は公式戦4試合を戦ったが、すべて敗戦。リーグ戦は1試合のみのため順位に変動はないものの、アジアNo.1クラブを決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ではJ1で残留争いをするヴィッセル神戸に敗れ、準々決勝から参戦となったルヴァン杯ではサンフレッチェ広島に2試合合計2-5という完敗で、それぞれ姿を消すこととなった。
今季、マリノスが7月末までに戦った31の公式戦のうち、黒星はわずかに5つ。天皇杯こそJ2所属の栃木SCに下剋上を許し3回戦で敗退となったが、J1リーグ、ルヴァン杯、ACLと3つのタイトルを独占する可能性さえあった。強さはそれほどまでに際立っていた。
ところが8月に入り、急ブレーキ。異変が発生していることは間違いない。リーグ最多得点を誇り独走体勢に入りつつあったマリノスに何が起きているのだろうか。
圧倒的な攻撃力の裏で、CBの選手層に課題
全敗となった8月の4試合だが、得点数は5と持ち前の得点力が大きく失われてしまったわけではない。一方でその間の失点は10を数え、不調のおもな原因が守備にあるのは明らかだ。
具体的には、畠中槙之輔、エドゥアルド、岩田智輝、角田涼太朗、實藤友紀と多くの選手が務めるCBのプレーに、多くの問題が発生した。ルヴァン杯準々決勝の第2戦では畠中がキープしようとしたボールを奪われ失点、角田が退場、ACLでは實藤のパスミスが失点につながるなど、多くの選手に良くないプレーがみられる。
ビルドアップ時にミスは許されず、速攻を受けた際には1人1人が広いスペースをカバーしなければならないなど負荷が大きい影響があるのか、精彩を欠く選手が目立つ。
また8月の10失点の多くは、2つの形に分別できる。1つは前述の畠中や實藤のミスのように、非常に低い位置でボールを失い失点した形。もう1つは、セットプレー絡みから失点した形だ。
マリノスはボールを奪ってもあまり長いボールは蹴らず、低い位置からでも積極的にビルドアップを狙う。そのスタイルを実現するために、多くのポジションで高さよりも速さや上手さを優先した陣容となっており、パスの出し手と高さ不足を狙われている。
カギは次節、FC東京戦
ACL、ルヴァン杯で敗退してしまったことは残念だが、ポジティブに捉えるとリーグ戦に集中できる環境ができた、ともいえる。2019年以来のリーグタイトルを獲得するために重要なのが次節、9月3日に行われるFC東京戦だ。
マリノスはこの試合から、中2日や中3日での5連戦がスタート。これらの試合の結果次第で一気に勝ち点を重ねることも、一気に順位を落とすこともあり得る。
FC東京戦のあとは湘南ベルマーレ、アビスパ福岡、京都サンガF.C.、北海道コンサドーレ札幌と、いずれも残留争いを繰り広げるチームとの対戦を控える。残留を手繰り寄せようと必死に戦う相手に勝ち切るのは簡単ではないが、単純な力関係ではマリノスが上だろう。
だからこそ余計にFC東京戦の結果が、この5連戦の流れを左右する可能性は高い。ケヴィン・マスカット監督がFC東京戦でCBに誰を起用するのか、失点を減らすためどのようにリスクを軽減するのか、要注目だ。
J1リーグのタイトルを4度獲得している名門・マリノス。現在の苦境と過密日程を乗り越え、相手の守備網を素早く切り裂く攻撃力を武器に、シャーレを掲げられるだろうか。
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