直近2連覇の川崎F以外、逃げ切りは困難
今季J1リーグ首位で前半戦を折り返したのは横浜F・マリノス。現在、18節を終えて勝点37を積み上げた。それを勝点3差で2位・鹿島アントラーズと3位・川崎フロンターレが追う三つ巴の構図となっている。トリコロール軍団は、果たしてこのまま両雄を振り切ることができるのだろうか。
そこで、過去のJ1で首位ターンしたチームが、シーズン終了時に何位になっているのかをリストにまとめてみた。
J1は2005年から本格的に1ステージ制に移行。途中2ステージ制を採用した15、16年を除いた昨年までの計15回のリーグ戦で、前半戦1位のチームがそのまま逃げ切ったパターンは5例ある。
06年に悲願の初Vを叶えた浦和レッズ、09年に3連覇を達成した鹿島、13年に2年連続でシャーレを掲げたサンフレッチェ広島、そして共に4試合を残すJ1最速のぶっちぎり優勝で連覇を果たした20、21年の川崎Fだ。
ただし、無双の川崎Fを除いた3チームは順風満帆だったわけではない。06年の浦和は、最終節で2位・ガンバ大阪との頂上決戦を制した。13年の広島は残り2節の時点で首位・横浜FMと勝点5差あったが連勝し逆転Vを飾るなど、いずれも最後の最後までもつれ込んだ。
前半戦首位チームの優勝確率は33.3%。一方、前半戦のトップが、最終的に抜かれて2、3位に終わるケースは40%ちょうど。2014年から2年間の2ステージ制を挟み、4大会連続で、前半戦1位が結果2位に甘んじる現象が起きているのだ。いかにシーズンを通してトップの座を守ることが難しいかを物語っている。
前半戦2、3位からの逆転劇が半数以上
前半戦終了時は2、3位の順位につけて、後半戦に逆転するパターンでの優勝確率は、53.3%と高い。
近年では19年の横浜FMがアンジェ・ポステコグルー監督体制2年目でアタッキングフットボールが開花し、前半戦は3位。8月下旬からのロングラストスパートにより32節で初めて先頭に立ち、最終節で前半戦トップの2位・FC東京を下し、15年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。
また、鹿島は唯一2、3位の順位から2度、逆転Vを果たしたチーム。07年には3位、08年は2位の好位置から最終的に戴冠を果たし、翌年の3連覇達成につなげている。
今季は大混戦、8チームの覇権争い?
05年以降の1ステージ制では、前半戦1~3位のチームから86.6%という高確率で優勝チームが生まれている。となれば、今季も横浜FM、鹿島、川崎Fの中から覇者が誕生する可能性が高い。
ただし、シーズン半分の17節が終わった段階でトップに君臨しても安泰ではないのも事実。08年の浦和は頂上から7位へ、同じく10年の清水エスパルスは6位へそれぞれ転落している…。
逆に、17年の川崎Fは前半戦6位と首位とは勝点6の開きがあったが、8月から14戦無敗の猛チャージをかけて大逆転によるリーグ初制覇を収めた。
さらに、大差をひっくり返したのが14年のG大阪だ。この年、J2から戻って来たG大阪は前半戦で7敗を喫し、中位の8位に埋もれていた。トップを走る浦和とは勝点で12点も差をつけられていたものの、後半戦の怒涛の快進撃で順位は急上昇。33節で首位の座を掴み、11年の柏レイソルに続く、昇格1年目で即リーグ制覇の偉業を遂げたのである。
それらを考慮すれば、群を抜く圧倒的に強いチームが見当たらず、猛暑という敵も調子を狂わす材料となる混戦模様の今季J1でも、何が起こるかわからない。ひょっとすると、8年前のG大阪のような下剋上を起こすチームが現れても不思議ではない。
G大阪の当時のデータに当てはめると、今季17節時点で首位と勝点差12ポイント以内の4位以下の5チーム、柏(勝点30)、広島(同27)、セレッソ大阪(同26)、FC東京(同25)、サガン鳥栖(同24)にも、優勝のチャンスは残されている。群雄割拠の22年J1リーグを制するのはどこだ。
【関連記事】
・また神戸…Jリーグシーズン途中の監督交代回数と成績は反比例する現実
・Jリーグで背番号12の選手がほとんどいない理由、たった2人の「12」は?
・J1の“ドロー沼”にハマる鳥栖、浦和、札幌…シーズン最多引き分け更新か