10得点を挙げた上田綺世の移籍で多くの選手にチャンス到来
2022年明治安田生命J1リーグの得点王争いが大混戦だ。第21節終了時点でトップに立つのは、18試合出場10得点の上田綺世。だが、鹿島アントラーズを離れサークル・ブルージュ(ベルギー1部)へ移籍することが発表された。これにより数多くの選手に、得点王の可能性が生じている。
「チームの勝利のために」と発言する選手は多いが、貪欲に得点を目指すストライカーほど心のなかでは「チームの勝利のために、自分がゴールを奪いたい」と考えているもの。貪欲さをゴールという結果に結びつけ、得点王に輝く選手は誰になるだろうか。
上田を除くと7得点以上が7人
移籍を発表した上田を除くと、第21節終了時点でトップにつけるのは9得点のピーター・ウタカ(京都サンガF.C.)とレオ・セアラ(横浜F・マリノス)。
すぐ後ろにつけるのは、8得点の西村拓真(横浜F・マリノス)と町野修斗(湘南ベルマーレ)。7得点の鈴木優磨(鹿島アントラーズ)やアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)、チアゴ・サンタナ(清水エスパルス)も可能性は十分だ。
7得点以上を挙げている7人(上田除く)のなかで、まず目に留まるのは横浜F・マリノスの選手の多さ。3人がランクインしている。46得点という圧倒的な得点数(2位は鹿島アントラーズの34得点)がなせる業だ。
チーム内での激しい競争が、お互いの得点数を伸ばすという相乗効果を生んでいる。なかでも3トップの中央でプレーするレオ・セアラは、得点王候補筆頭だろう。
レオ・セアラに並ぶピーター・ウタカは開幕から9試合で7得点を奪ったが、ここ12試合は2得点。フル出場する試合が多く、歴代最年長での得点王に輝くには疲労を乗り越えねばならない。
また7得点の鈴木優磨は、相棒の上田綺世が移籍したことでマークが厳しくなることが予想される。身体を張ったポストプレーなど、得点数以上に貢献度の高い選手であるがゆえに、得点王へのハードルは高い。
直近の試合で好調なのは…
一方で8得点の西村拓真と町野修斗は、ここ数試合で一気に得点を積み重ねている。西村拓真はここ5試合で4得点。レオ・セアラの後方からゴール前へ侵入し、ネットを揺らす姿が板についてきた。
町野修斗も、ここ8試合で6得点。チームの総得点(18)のうち、4割以上を1人で奪っている。両者とも今月19~27日に行われる東アジアE-1選手権で日本代表に初選出されており、自信をつけてさらに加速できるか。
現在3試合連続得点中の、チアゴ・サンタナも上り調子だ。2月に右足舟状骨骨折の怪我を負い出遅れたが、第8節からの出場で7得点と現在の勢いでは誰よりも上だろう。個の力で得点を奪えるため、抑えるのが非常に難しい選手だ。
アンデルソン・ロペスはこれらの選手とは状況が異なるが、実力はピカイチ。好調で迎えた第14節、アビスパ福岡との試合で「唾吐き」をしてしまい、6試合出場停止に。前節ようやくピッチに戻ってきた。その間に得点を重ねたレオ・セアラからスタメンの座を取り戻すことができれば、得点を重ねることはさほど難しい任務ではない。
その他にはわずか672分の出場で6得点のダヴィド・モーベルグ(浦和レッズ)、ここ5試合で3得点を挙げている山岸祐也(アビスパ福岡)、東アジアE-1選手権で日本代表に初選手された細谷真大(柏レイソル)なども、虎視眈々と得点量産を狙っている。
残り13試合(川崎フロンターレとサガン鳥栖は14試合)で数字を積み重ね、チームの順位を引き上げるとともに得点王に輝くのは誰になるだろうか。
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