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サッカー界のリアル「オールドルーキー」8人…J1復帰を夢見る元W杯戦士たち

2022 7/8 06:00小林智明
甲府時代の伊東輝悦,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

47歳の伊東輝悦が最高齢

現在放送中のドラマ「オールドルーキー」(TBS系)で、綾野剛が演じる主人公・新町亮太郎はサッカー元日本代表FW。37歳になってピークが過ぎてもJ3でプレーを続け、きっかけさえあればJ1へ復帰できると信じていた。

結局ドラマでは所属クラブが突如解散し、新町は引き取り手がなく引退を余儀なくされたが、リアルなサッカー界には新町のようにJ3以下のカテゴリーでプレーし、しかもW杯メンバーに選ばれた過去を持つ偉大な選手が8人いる。

彼らの平均年齢はなんと41歳。その多くの選手はトップコンディションの維持が難しく、若手の後塵を拝する機会が増えている。けれども、元W杯戦士のプライドを捨てて、純粋に好きなサッカーに向き合っている。

J3以下のカテゴリーで現役を続ける元W杯日本代表,ⒸSPAIA


最年長は47歳、FIFAワールドカップフランス’98日本代表の伊東輝悦だ。大会での出番こそなかったが、18年間も清水エスパルスの中盤を支えたレジェンド。その後、ヴァンフォーレ甲府を経て、J3クラブを渡り歩き、2017年より現在のアスルクラロ沼津に加入した。

だが、昨年から公式戦出場数はゼロ。プロ生活30年目の節目の今季、再びピッチに立つことを目標に練習で汗を流す。

カズへの憧憬を抱く松井大輔と駒野友一

伊東と同じJ3に属しているのが、2010FIFAワールドカップ南アフリカで右サイドの攻守を担ったMF松井大輔とDF駒野友一。松井は昨年9月よりY.S.C.C.横浜フットサルに籍を置き、続いて今年1月にY.S.C.C.横浜と契約を結び、サッカーとフットサルの二刀流に挑戦中だ。そして“永遠の憧れ”のカズこと三浦知良(55歳)の背中を負う。

駒野は、南アフリカ大会で監督として指揮を執った岡田武史が代表を務めるFC今治へ2019年に移籍。当時はJFLだったが、1年でJ3昇格を果たす。今季リーグ戦の先発出場は1試合に留まっているが、J1・J2を合わせ524試合出場(J1・374試合)の経験で要所を締める。なお、駒野も憧れの選手はカズだと今治の公式HPで公表している。

茂庭照幸はカズとの対戦を熱望

JFLのFCマルヤス岡崎には、CB茂庭照幸がいる。茂庭は2006FIFAワールドカップドイツのメンバーに落選したものの、大会前に田中誠の負傷により急きょ追加招集され、休暇先のハワイから即帰国し、ドイツへ飛ぶ。しかも、初戦のオーストラリア戦で先発の坪井慶介が負傷退場したため、後半途中からピッチに立った強運の持ち主だ。

2019年にJ1・セレッソ大阪より3つカテゴリーが下のマルヤスに移籍した茂庭は、近年はケガに悩まされている様子。昨季JFLは9試合出場に留まり、今季はまだ1試合もベンチ入りすらしていない。

しかしながら、新たな楽しみができた。鈴鹿ポイントゲッターズに加入したカズとの対戦だ。なぜなら、絶頂期のカズを少年時代に見たのが、茂庭がサッカーを始めたきっかけだからである。

稲本潤一、高原直泰は“J5”から挑戦

J1から数えて“5部”に相当する地域リーグでも、サッカーへの情熱をたぎらせる元W杯戦士が4人いる。うち3人は「キャプテン翼」の原作者・高橋陽一がオーナーの南葛SCと今季契約した稲本潤一、今野泰幸、伊野波雅彦だ。

3人の加入は話題を呼んだが、南葛は関東リーグ1部で現在1勝4分け3敗と、全10チーム中9位…。3人とも人工芝のピッチでの試合など慣れていない部分もあり、スタメン定着に至っておらず、苦戦を強いられている。

もう一人、九州リーグからJリーグ入りを目指しているのが高原直泰。自身が設立したサッカークラブ、沖縄SVでCEO、監督、選手の一人三役をこなす。さらにネスレ日本と組んでコーヒー農園の経営にも着手し、多忙な日々を送る。

肝心のサッカーでは今季リーグ戦で12戦全勝、計47得点3失点と無双状態。高原自身も7試合に途中出場し、1得点を挙げて貫禄を示す。

稲本、高原といえば、1999年のワールドユースで準優勝した「黄金世代」。同世代の現役選手では共に42歳の遠藤保仁(ジュビロ磐田)、小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)も元W杯戦士である。

今季はJ1の檜舞台に立つ2人だが、昨年はJ2で過ごしていた(小野は昨年途中からFC琉球に在籍)。また、J2・横浜FCの中村俊輔も44歳となりここ数年で出番は激減しているが、現役にこだわる。

彼ら元W杯戦士に共通しているのは、「オールドルーキー」の新町と同じく、サッカーに対するピュアで真っすぐな気持ち。情熱の火が消えない限り、ボールを追い続ける。

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