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稲本潤一と今野泰幸獲得で注目の南葛SCとは?漫画の世界からJリーグ目指す

2022 2/1 06:00中島雅淑
稲本潤一,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

「キャプテン翼」原作者の高橋陽一氏が代表取締役

J1から実に4つ下のカテゴリーの関東1部に所属するチームが注目を浴びている。

葛飾区からJリーグ入りを目指す南葛SCは今オフ、元日本代表MF稲本潤一と、同MF今野泰幸の獲得を発表。W杯戦士の加入ということもあり、大きな話題を集めた。

コアなサッカーファンにしか知られていない同クラブだが、歴史は古く、1983年地元の中学OBを中心に前身となる「常盤クラブ」として誕生した。

大きな転機となったのは2013年だ。地元・葛飾区出身で、人気サッカー漫画「キャプテン翼」原作者である高橋陽一氏を後援会会長(現在は代表取締役)に迎えたタイミングで、クラブ名を作中でも登場した「南葛SC」に改称。そのブランド力を武器に、Jリーグ各カテゴリーで活躍した選手を積極的にチームに加えて強化を図るなど、予算が限られているアマチュアクラブらしからぬやり方で強化を進めてきた。

それは着実に成果となって現れており、2019年にはトップチームが法人化し、スペインのサバデルや、相模原SCとも提携するなど、将来Jリーグ入りを目指すクラブとして体制は整いつつあり、ついにJFL目前まで駆け上がってきた。

下積みを経て飛躍する土壌となるか

アマチュアカテゴリのほとんどのクラブは予算規模も限られており、選手は他に仕事をこなしながら夢を追いかける、という二足の草鞋でプレーに取り組んでいるのが現状だ。

彼らにとって今回のニュースは大きな刺激であり、夢を与えてくれるだろう。エリート街道からでなくても上を目指せるということを。

プレミアリーグ・レスターシティ所属のイングランド代表FWジェイミーヴァーディーは現在こそ得点ランキング上位に顔を出す、押しも押されもせぬ名手となったが、デビュー当初は8部相当のリーグで副業をこなしながらプレーしていた苦労人だ。

それがプレミアリーグ制覇の立役者となる日が来るのだからこの世界は分からない。

日本でも育成のシステムが整備され、技術は身につけることができるようになった。しかし、逆境に打ち克つ力、気持ちの強さは教えて身につけられるものではなく、それこそがピッチの上で最も大切なものではないだろうか。

南葛SCは現在はアマチュアカテゴリーに所属しているクラブに過ぎないが、いずれは不遇の下積み時代を過ごした選手が大きく飛躍を遂げる土壌になるクラブとしての性格を強めている気がしてならない。

漫画の世界で一世を風靡したチーム名に因んだクラブは、現実世界でもJリーグを席巻できるだろうか。

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