FC東京・松木玖生の凄さをデータ解析、高卒1年目で開幕4試合連続スタメンの18歳

FC東京では15年ぶり！高卒ルーキーの開幕スタメン

2月18日、2022年のJ1リーグ開幕戦。初戦から川崎フロンターレとFC東京による“多摩川クラシコ”という熱い組み合わせとなった一戦で、スターティングメンバーに松木玖生が名を連ねた。

松木玖生といえば、青森山田高校の主将として挑んだ第100回全国高等学校サッカー選手権大会で準決勝、決勝で2試合連続ゴールを決めるなど、計4得点で同校の優勝に大きく貢献。1年時から主力を務め世代屈指のタレントとして鳴り物入りでプロ入りしていた。

そんな18歳は、リーグ初制覇を目指すFC東京でも、その知名度に違わぬ記録を早速残している。

まず、高卒1年目での開幕スタメン入りは、2007年の吉本一謙以来15年ぶり。下部組織出身ではない高卒ルーキーとしては、クラブ史上初のことだった。

高卒ルーキーで過去に開幕スタメンを飾った、そうそうたる面々

高卒ルーキーで開幕スタメンを飾った選手には、その後大成し日の丸を背負った例が多い。

Jリーグで初めて高卒ルーキーが開幕スタメンを飾ったのは、1994年、鹿児島実業高校からルーキーとしてジェフユナイテッド市原（現ジェフユナイテッド千葉）に加入した城彰二氏だった。開幕戦のガンバ大阪戦でスタメン出場すると、前半24分にヘディングシュートで早速得点を記録。さらにそこから4試合連続得点を記録し、大きな話題となった。

その後は日本代表としても35試合に出場。現在も解説者や北海道十勝スカイアースの統括GMとしてサッカー界に深く関わっている。

現在ジュビロ磐田でプレーする遠藤保仁は、1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに入団すると、開幕戦の横浜マリノス戦でスタメンデビュー。1年目から16試合に出場し、その後は京都パープルサンガ、ガンバ大阪、ジュビロ磐田と中心選手として出場を重ねている。さらにご存じの通り、日本代表としても152試合に出場し最多出場の記録を保持している。

2005年、星稜高校から名古屋グランパスに入団した本田圭佑は、開幕戦のジェフユナイテッド千葉戦でスタメン入り。その後はイタリアの名門ACミランを筆頭に、ロシア1部のCSKAモスクワ、オランダ1部のVVVフェンロ、メキシコ1部のパチューカなど世界中のクラブでプレーし、日本代表としても98試合に出場。アジア人初のW杯3大会連続得点を挙げた。選手としては現在フリーだが、指導者や経営者としても活動している。

2006年、清水東高校から鹿島アントラーズに入団した内田篤人氏はクラブ初となる高卒ルーキーでの開幕スタメンを飾った。その後はドイツ1部のシャルケ04で「ウッシー」の愛称で愛され、UEFAチャンピオンズリーグにも出場。ウニオン・ベルリンや古巣・鹿島アントラーズで再びプレーし、日本代表としても74試合に出場している。

無論これらの例が全てではないが、日本代表経験者と並ぶスタートを切った松木玖生。彼の場合はさらに、開幕戦から4試合全てにスタメン出場。第3節以降の3試合（第2節は未消化）ではフル出場、チームは最少タイの4試合消化で5位と結果にもつながっている。

4試合のデータから分かる、松木玖生の凄さ

データの面から見ても、松木は高卒ルーキーとして並外れた数字を残している。

フル出場した3試合全てでチームトップの12kmを超える総走行距離で、4試合全てで20回を超えるスプリント回数を記録。また数的不利になったセレッソ大阪戦を除き、試合を重ねるにつれてパス成功率も向上し続けている。

それでも「メンタリティが強いだけで、技術面はサッカー選手としてまだ身についていないものが多い」と自分を認識している彼が、現状に満足することはないだろう。2021年のはじめにはフランスの強豪であるオリンピック・リヨンU-19の練習に参加するなど海外志向が強い彼の目標は、J1リーグで活躍することにとどまらないからだ。

3月17日には飛び級でU-21日本代表に選出されるなど各所からの評価は上がり続けており、昨年6月にはフランス1部のストラスブールからオファーが届くなど欧州のクラブからの評価も高い。

Jリーグで活躍してから海外と階段を一歩ずつ登ることを選択。ここまでの試合と出場記録を見る限りは、その選択が正しかったことを示している。ビッグマウスと言われることもあるが、その実は向上心の塊だからこそ。松木玖生がこれからどういったキャリアを歩むのか楽しみだ。

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