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セレッソ大阪の17歳・北野颯太は何が凄いのか?出身やプレースタイルは?

2022 3/17 11:00木村健
セレッソ大阪の北野颯太,ⒸCEREZO OSAKA
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ⒸCEREZO OSAKA

2月25日にプロ契約した“ネクスト香川真司”

セレッソ大阪に新たな才能が登場した。名前は北野颯太。リーグ開幕時はU―18所属で2種登録だったが、2月25日にプロ契約をした17歳だ。すでに内田篤人や中村憲剛が注目選手として挙げ“ネクスト香川真司”としての呼び声も高い。

北野は和歌山県出身で現在、興国高校(大阪)の2年生。身長172センチ、体重60キロのFWだ。和歌山のアルテリーヴォ湯浅でサッカーを始め、セレッソ大阪U-15、同U-18と着実にステップアップしてきた。

本人は「17歳で試合に出ることは凄いことではない。世界では得点をたくさん取っている選手もいる。得点を取ってこそ凄い17歳と言われる」と謙虚だが、何が凄いのか。ここまでのJ1リーグ4試合をベースに検証したい。

高いシュート意識

3月6日のFC東京戦ではプロ初スタメン。初めてシュート0本に終わったが、小菊昭雄監督が「決め切れていない場面もあるが、回数を作れるのが素晴らしい才能」と評価するように、途中出場だけで4本のシュートを放っている。

一昨年から5人交代制になり戦術の幅に拡がりを見せるようになっているが、やはり途中出場選手は試合の流れに入りきれないことも多い。今季ここまでを振り返っても、途中出場で北野以上のシュート本数を放っているのは横浜FマリノスFWアンデルソン・ロペスの6本(6試合中3試合途中出場)と清水エスパルスFWベンジャミン・コロリの5本(4試合中2試合途中出場)のみ。清水FW滝裕太と並んで日本人ではトップだ。

ちなみにルヴァン杯では2試合ともスタメンでシュート7本となっているが、大会トップのシュート数。もちろん4試合全て途中出場で2得点(シュート3本)を挙げている磐田FWジャーメイン良のように決定力の高さがあれば文句なしだが、いかに北野がシュート意識高く、そこまで持っていけているかの証左である。

積極性と技術、爆発力

シュートまで持ち運ぶ術にはクロスや抜け出し、ドリブルなど様々な手法がある。その中で見逃せないのが、スプリント回数とトラップ成功率だろう。

FC東京戦では64分間の出場に留まったが、スプリント回数は両チーム通じて2位の25回を計測(1位は松田陸)。ともに相手のスーパークリアに阻まれたが2月23日のルヴァン杯・ガンバ大阪戦でも瞬間的なスピードでゴール前に走り込んで決定的なシュートを放ち、2月26日のリーグ・京都戦でも試合終了間際にDFラインを突破してGKとの1対1チャンスを作った。

瞬間的なスピードは北野の武器の一つで、プレスバックをサボらない点も彼の評価を高めている要因だ。

またトラップ成功率は25回中22回成功の88%を計測。17歳6カ月17日でプロ初得点を奪った3月2日のルヴァン杯・鹿島戦ではトップスピードでパスを受けてファーストタッチを完璧に収めたのが全てだった。ワンタッチパス成功率も66.7%でFW登録選手としては悪くなく、技術の高さも十分だ。

また全体的なパス成功率は56%と平均点だが、敵陣での成功率は66.7%。相手ゴール近くのアタッキングサードでは同80%と敵陣に近くなればなるほどパス成功率は高くなっている。プレッシャーの厳しくなるエリアでの“安定感”も秀でている。

次なる目標はクラブ最年少J1ゴール

ルヴァン杯では南野拓実が持っていた18歳2カ月7日のクラブ最年少ゴール記録を更新。次なる目標は同じく南野が持つ18歳5カ月20日のクラブ最年少J1ゴールになる。クラブ関係者が「同時期の香川真司や南野拓実よりも凄い」と口にする逸材のプレーから目が離せない。

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