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Jリーグ王者・川崎フロンターレが衝撃の逆転負け、データが示す昨年との違い

2022 3/4 06:00椎葉洋平
川崎フロンターレMF大島僚太,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

昨年25試合負けなかったフロンターレが2試合目で敗戦

一昨年は2位のガンバ大阪と勝ち点差18、昨年は2位の横浜F・マリノスと勝ち点差13と圧倒的な成績で、特に昨年は開幕から25試合負けなしでJ1リーグを連覇した川崎フロンターレ。3連覇をかけて挑む今季は少し様子がおかしい。

リーグの開幕前に行われたFUJIFILM SUPER CUPで浦和レッズに0-2で敗れたことも驚きだったが、アジアチャンピオンズリーグのスケジュールの影響で第1節と第2節の間に開催された第9節で、横浜F・マリノスに先制しながら2-4と逆転負けを喫したことは衝撃だった。

マリノスも優勝候補の一角であり、負けたこと自体に衝撃を受けたわけではない。先制した試合は88試合負けなしとこの上ないほどの強さを誇っており、昨年はリーグで最も失点が少なかったフロンターレが、4失点で逆転負けをしたことに驚いたのだ。

多くのチームより2試合消化が多く、4試合を終えた時点で3勝1敗の暫定首位につけているとはいえ、昨年のように圧倒した戦いはできていない。何が違っているのだろうか。

データで見る昨年との違い

まずは昨年と、今年のここまで3試合とのデータを比べてみる。

川崎フロンターレ1試合あたりの数値


フロンターレ自慢の攻撃陣は昨年、1試合平均で2.13点を奪っていた。しかし、今年は1.75と約0.4点減少している。

また、昨年は1試合平均0.74失点でリーグで最も失点が少なかったのに対し、今年は1.25と約0.5も増加。単純なデータだけでも、昨年との違いが現れている。

より細かく見てみると、1試合あたりのシュート数が14.8から11.0と減少しており、これにはクロスの成功率の低さが関係している。クロスの成功とは味方に通ったものを指し、FC東京戦では12本上げて成功1、鹿島戦では6本上げて成功0。直近の浦和戦で12本上げて4本成功し、改善傾向が見られるとはいえ不安が残る。

川崎フロンターレ1試合のクロス本数と成功数


一方で被シュートは9.6から11.8と増加。シュートが減り、シュートを打たれる場面が増えているとなると、成績が不安定になることも納得だろう。

3連覇を果たすために求められること

監督交代がなく選手は昨年から大きく変わっていないにも関わらず、数字がはっきりと落ちている。つまり、昨年の主力で唯一チームを離れた旗手怜央(セルティックFC)や、今季リーグ戦で2分間しか出場していないジョアン・シミッチがいかに大きな役割を担っていたかということだろう。中盤を筆頭に、昨年ほどの強度と質が見られないことが、試合を通した安定感に影響している。

また優勝すればするほど、対戦相手はモチベーション高く“一戦必勝”を期して向かってくる。だから他国に比べ戦力が拮抗しているJリーグで連覇を続けることは難しい。

今季のフロンターレは過去に鹿島アントラーズしか達成していない3連覇を狙っており、そのためには現状維持ではなく新戦力のフィット、そして個々の成長が絶対に欠かせない。

チャナティップや瀬古樹という即戦力として獲得した選手はもちろん、ルーキーながら鹿島アントラーズ戦で早速得点を決めた佐々木旭や昨年は怪我で9試合にしか出場できなかった大島僚太らが好プレーをみせ、チーム内での競争を激化させることが重要だろう。

車屋紳太郎の負傷離脱やジョアン・シミッチがリーグ戦にほぼ絡めていないことは残念だが、開幕戦は不在だった橘田健人のスタメン復帰と復調、知念慶の好調ぶりなどポジティブな要素も少なくない。2017年、2018年にもJ1リーグを2連覇しながら2019年に優勝を逃した王者が、今度こそ新たな歴史を刻もうとする姿に注目だ。

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