光明:板倉・守田・田中・谷口ら川崎フロンターレ勢が安定
サッカーのカタールW杯アジア最終予選(グループB)第7節が1月27日、埼玉スタジアムで行われ、日本代表は中国代表に2-0で勝利を収めたものの、その内容には光明と不安が見え隠れした。
今回注目されたのは、冨安健洋(アーセナル)と吉田麻也(サンプドリア)の先発CBコンビが揃って欠場したことだ。代わって板倉晃(シャルケ)と谷口彰悟(川崎フロンターレ)の2人が先発し、後方からチームを支え、時に鋭い縦パスを供給した。
中盤はボランチの役割を担う遠藤航(シュトゥットガルト)、守田英正(サンタ・クララ)、田中碧(デュッセルドルフ)の3人が入り、前線〜中盤にかけて激しいプレッシング、落ち着いたパス回しを展開した。彼ら3人の活躍が、中国戦での一方的な展開を生み出した。
興味深いのは、板倉・守田・田中・谷口と川崎フロンターレ出身(あるいは今も所属)の選手が多かったことだ。ドイツ代表にバイエルンの選手が多いように、特定クラブの選手が多ければ、日頃から培ってきた連携や意思疎通をそのまま代表でのプレイに還元できる。あらためて、Jリーグ王者の力が示された格好だ。
不安:先発メンバーと戦術が固定化
不安もある。先発メンバーと戦術が固定化されていることだ。ベストメンバーなら致し方ないが、衰えが見えるロシアW杯メンバーを含めた選考は疑問を感じざるをえない。板倉と谷口も、もし冨安と吉田がいれば先発起用されなかっただろう。
実際、交代選手が入って活性化するまで、物足りない内容だった。PKで1点奪えたから良かったものの、中国相手に火力が弱すぎる印象を受けた。フィニッシャーである大迫勇也(ヴィッセル神戸)は流れの中で得点できず、南野拓実(リバプール)も前回同様、存在感が薄かった。
伊東純也の3戦連続ゴールで勝利をもぎ取ったが、逆に言うと“伊東純也の俊足頼み”になっている感もある。中国戦では相手が伊東に2人がかりで対応する場面があり、各国チームで“伊東警戒網”が敷かれつつある。サウジアラビアやオーストラリアがファウル覚悟で伊東を潰しにかかるかもしれない。
欲を言えば、中盤はボランチ3枚を並べたがゆえ攻撃の幅が狭い印象もあった。鮮やかなパス回しでキレイに崩すやり方が目立ち、旗手怜央(セルティック)のようなロングシュートを打つ選手、強引につっかける選手がいない。森保ジャパンは逆転勝ちが少なく、先制される展開になったとき、はたしてどうだろうか。
そして、長友佑都(FC東京)から中山雄太(ズヴォレ)へ、というお決まりの左SB交代はそろそろ卒業するべきではないだろうか。緊迫したゲームになればなるほど、守備陣を途中で変えるのはリスクがある。
長友がうまく試合に入れていなかったが(攻め込まれるシーンが皆無で長友は守備シーンが少なく悪目立ちしなかった)、中山が交代後に即アシストを決めたのは対称的だった。試合中継に出演した松木安太郎が「中山先発で良いのではないか」と意見するなど“中山先発”を推す声も増えている。
一部メディアでは「快勝」などと報じられるが、言うほど快勝ではない。むしろ、日本はベストメンバーではないにせよ海外組がズラリと並び、アジアではチームの総合力が高い。中国はウー・レイ(エスパニョール)以外は全員国内クラブの選手で、攻撃に転じても日本のプレッシングに跳ね返され、お世辞にもレベルが高くなかった。日本は、相当の戦力差があって“2点しかとれなかった”という印象が強い。
中国戦ではボランチ3人が中盤を制圧したが、これは力が劣る中国だから90分持った、成立したと捉えることもできる。2月1日に対戦するサウジアラビアのエルヴェ・ルナール監督は確実に対策してくるだろう。森保一監督の手腕を含め、現日本代表の真価が問われる。
【関連記事】
・サッカー日本代表に新戦力台頭、大迫勇也、柴崎岳、長友佑都の起用法に疑問符
・「ドル箱」だったはずが…サッカー日本代表戦が地上波から消えた複雑な事情
・サッカーワールドカップ歴代優勝国と得点王、決勝スコア、優勝回数ランキング