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大久保嘉人らJ1に個人昇格した10選手、東京ヴェルディは「優良銘柄」輩出

2021 3/20 06:00小林智明
セレッソ大阪・大久保嘉人ⒸCEREZO OSAKA
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ⒸCEREZO OSAKA

通算200ゴール、最年長得点王を狙う大久保

Jリーグのトレンドになっている「個人昇格」。いわゆるJ2、J3からJ1へ移籍した選手を指す。日本代表に初選出されたばかりのセレッソ大阪のドリブラー坂元達裕(前モンテディオ山形)は昨季、飛躍を遂げた一人だ。では、今季は誰がブレイクスルーを果たすのか。その候補となる個人昇格組を取り上げたい。

近年、日本代表に選出されたMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)、MF中島翔哉(アル・アイン)、DF畠中槙之輔(横浜F・マリノス)ら「優良銘柄」を数多く輩出しているJ2クラブといえば、東京ヴェルディである。今季も3選手がすでにJ1の新天地で、レギュラーの座を射止めている。

その一人がセレッソ大阪の大久保嘉人だ。桜の背番号20は、J2で認められて“昇格”した他の選手と異なる古巣復帰組にあたる。今季の勇躍はご存じの通り。開幕6戦5発の荒稼ぎで、得点ランクの2位につける。

歴代最多のJ1通算ゴールは190を数え、大台「200」へのカウントダウンへ。現在38歳、1993年に当時34歳で得点王に輝いたラモン・ディアス(横浜マリノス)が持つ、J1最年長得点王の記録を越えるのも夢ではない。

大久保の全5得点を分析すると、アーリーも含めて右クロスからのワンタッチゴールが4点を占め、うち3点がヘッドによる得点。DFの背後からゴール前に現れる秀逸なポジショニング、天性の“当て感”の良さに舌を巻く。

また個人シュート数は開幕2戦こそ複数だったが、以降4試合は各1本のみ。集中力が研ぎ澄まされ、昨季J2ゼロ得点が嘘のようだ。

東京ヴェルディの至宝だった“シオン”と“ジョエル”

ヴェルディのアカデミー育ちの2人、ヴィッセル神戸の井上潮音と徳島ヴォルティスの藤田譲瑠チマは、ともにJ1初挑戦ながら開幕から先発を飾り、すでにチームに溶け込んでいる。

左の攻撃的MF井上は、ここまでのリーグ全5戦(先発4戦)に出場。通算シュート数「1」が示すようにビッグプレーこそまだ少ないが、攻撃を円滑にまわす卓越したボールさばきに、才能の片鱗がうかがえる。普段はクールガイだが、ここぞという局面では、意外なほど熱くボールを追う姿も好印象。3節・FC東京戦では、古橋亨梧の37回に次ぐ、30回のハイスプリントで攻守にわたって走り、白星に貢献した。

ただし、井上の定位置の座は、まだ安泰とは言えない。なぜなら、アンドレス・イニエスタがケガによる離脱中だからだ。戦列復帰は4月以降の見通し。その際にポジション的にかぶる井上は、世界的名手と共存できるだろうか。現在1アシスト止まりなので、結果が求められる。

プロ1年目の昨季、J2で41試合を経験したボランチ藤田は、多数のJ1クラブのオファーの中からヴォルティスを選択。そして、ここまで4試合に先発出場。まだJ1での初白星を掴んでいないが、U-20代表候補の実力は本物だ。

ナイジェリア人の父と日本人の母をもち、172㎝・70kgと小柄ながら体幹が安定し、まず当たり負けしない。特筆すべきは、セカンドボール回収率の高さ。4節アビスパ福岡戦でのスプリント回数はわずか5本など、トラッキングデータは凡庸な選手並みなのに、好位置取りでこぼれ球を拾える。

さらに奪ったあとのボールの持ち出し方が巧み。トラディションで迫る相手をダブルタッチでかわすスキルを有す。先のアビスパ戦では、相手選手2人の間を割って抜き去る“スラローラムドリブル”を披露。まだ顔にあどけなさが残る19歳の今後の成長に、期待せずにはいられない。

まだいる!J2から這い上がった個人昇格7人

4勝1分の無傷で旋風を起こしているサガン鳥栖では、FW山下敬大とMF飯野七聖が躍動。ジェフユナイテッド千葉から移籍の山下はすでに3得点を挙げて、不可欠な存在に。184㎝の長身ながら労を惜しまぬ機動力も、早期にチームに馴染んだポイントだ。

ザスパクサツ群馬から加入した飯野は、右ウイングバック的な仕事をこなし、スピードを生かした強気な仕掛けとインナーラップで、強烈にアピールしている。

浦和レッズの金髪の新司令塔・小泉佳穂(前FC琉球)と、レフティーアタッカー明本考浩(前栃木SC)もJ1新参者ながら、スタメンに定着。戦術家リカルド・ロドリゲス監督の可変式サッカーを具現化しようと邁進している。

大久保と同じく古巣復帰組では、湘南ベルマーレの左ウイングバック高橋諒(前松本山雅FC)が、直近2試合連続ゴールと乗っている。

サンフレッチェ広島の今津佑太(前ヴァンフォーレ甲府)は、フィジカルと気迫で守るCB。公式戦4戦連続フルタイム出場中で、2勝2分とまだJ1で負けを知らない。

ベガルタ仙台のMF上原力也は、育成組織から昨季までジュビロ磐田一筋だったプレーメーカー。2節では川崎フロンターレから1点を奪うなど、攻撃を牽引する。

以上、今季注目の個人昇格プレーヤーのベスト10。ここまでは大久保が“掘り出し物”として他の選手をリードしているが、シーズンの終わりには、誰が出世頭になっているだろうか。成り上がり戦士たちが、今季もJ1を盛り上げる。

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