10日・FC東京戦「被災地にいいニュースを届けたい」
J1ヴィッセル神戸の郷家友太が第3節のFC東京戦(味スタ)を翌日に控えた9日、オンライン会見に出席した。
FC東京の印象を「ボールを取ってから攻撃への移りがスムーズで一発がある印象。セットプレーにも怖さがある」と明かした背番号7にとって、この一戦はどうしても負けられない理由がある。試合翌日で東日本大震災からちょうど10年の節目を迎えるからだ。
宮城県出身で小学5年生だった当時のことは今も鮮明に覚えている。記憶が鮮明だからこそ10年は短かったと振り返る。
「知り合いの方も亡くなって悲しい気持ちになってから10年が経つ。ベガルタの試合を観て勇気をもらったのを今でも覚えてる。立場が変わって、応援してくれている仙台のサポーターもいるので、被災地にいいニュースを届けたい」
震災直後は大好きなサッカーを1カ月以上できず「サッカーを奪われた気持ちがした。サッカーを取られたら何も残らないと小学5年で思い知らされた」と話す。心に深い傷を負った郷家を勇気づけたのが、4位に躍進したベガルタ仙台イレブンの気迫あふれるプレーと全国から学校に届く支援物資だった。人の温かみを知り、困難に立ち向かう気持ちになれた。
年末年始に帰省した際は復興を実感したが、2月13日には宮城県などで震度6強の激しい揺れがあり、実家の水道が止まったという。さらに会見したこの日朝にも震度4の地震があった。今も地震の恐怖が薄れた訳ではない。「地元に帰ると忘れちゃいけないなと思う」と自らに言い聞かせるように話した。
青森山田高を経て、阪神大震災のあった神戸入りしたのも何かの縁だろうか。1995年1月1日に発足し、初練習が予定されていた17日に被災したクラブで、郷家はチームのため、そして故郷のためにピッチに立つ。
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