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54歳・三浦知良が手本、小野伸二や中村俊輔ら40代Jリーガーの現在地

2021 3/4 06:00田村崇仁
小野伸二Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

キング・カズ、プロ36年目の開幕

横浜FCの元日本代表FW三浦知良が2021年シーズンのJリーグ開幕日となった2月26日、54歳の誕生日を迎えた。プロ36年目、若き日と変わらぬ情熱と意欲を見せる「キング・カズ」は試合に出場すれば常に自身の最年長出場記録を更新する日本サッカー界のレジェンドだ。

国際サッカー連盟(FIFA)の公式サイトでも2月下旬、インタビューに応じ「18歳の時にブラジルで初めてプロ契約した当時はこの歳までプレーするとは想像もしていなかった」と心境を明かした上で、今季に向けて「できるだけ先発で多くの試合に出場したい。他の選手とは父と息子のような年齢差があるが、長くプレーしているから、サッカーへの情熱とピッチ上での振る舞いを伝えられると思う」と意欲を語った。

「現時点でコーチになることは考えていない。サッカーから離れることもない。何らかの形でサッカーに関わっていくと思う。あとどのくらいプレーできるのか分からない。明日かもしれないし、あと2~3年かもしれない」と今後の展望も口にした。

それでも今季のJ1で息の長い選手はカズだけではない。近年はキングを手本に背中を追う40代Jリーガーも育っている。

Jリーグの年長選手

41歳小野伸二、札幌復帰で開幕戦勝利

J1札幌に復帰した41歳のMF小野伸二は2月27日、横浜FCとのホーム開幕戦で5―1の後半41分に途中出場。小学生から「天才」と呼ばれて18歳で日本代表デビューを果たし、黄金世代を代表する選手として活躍してきた圧倒的な存在感は今も変わらない。万雷の拍手でピッチに立った。

静岡・清水商高から浦和に入団し、日本代表が初めてワールドカップ(W杯)の舞台を史上最年少で踏んだ1998年フランス大会から2002年日韓大会、2006年ドイツ大会と3大会連続で出場。オランダ・フェイエノールトでも一時代を築き、国際Aマッチは56試合に出場している。

J2琉球から古巣の札幌に復帰した小野は自身のブログで「888日ぶりのJ1の舞台。少し硬さが出ちゃったけど、久しぶりのドームでサッカーができて嬉しかった。一歩ずつ前進していきましょう」とコメントした。

今季ゴールを決めれば。1994年に元ブラジル代表MFジーコ(鹿島)がマークした41歳3カ月12日のJ1最年長得点記録も更新する。

42歳中村俊輔は覚悟の背番号10

J1横浜FCの元日本代表MFで42歳の中村俊輔は今季からエースナンバーの10番を背負う。昨季は負傷離脱もありリーグ戦出場10試合にとどまった。6月で43歳となる天才レフティーの「覚悟」を感じさせるシーズンとなりそうだ。

札幌との開幕戦では先発出場し、自身が持つ開幕スタメン最年長記録を更新。ハーフタイムで交代するまでCKやクロスなど高精度の左足キックを随所に見せた。サッカー選手として尊敬する同僚のキング・カズだけでなく、今季は「今でも一番うまい」と実力を互いに認め合う小野の存在も大きな刺激になっている。

神奈川・桐光学園高から1997年横浜マリノス(現横浜F・マリノス)に加入して2000年にリーグMVP。イタリア、スコットランド、スペインの海外3カ国でプレーし、特にスコットランド1部の強豪セルティックで2006―2007年シーズンに年間MVPに輝き、欧州チャンピオンズリーグ(CL)のマンチェスター・ユナイテッド戦で決めた直接FKは今も語り草だ。

今季のチーム目標は10位以内。自身もゴールを決めればJ1最年長記録となるだけに、百戦錬磨のベテランは「黄金の左足」で得点もアシストも貪欲に狙っていく。

41歳の司令塔、遠藤保仁は最多出場記録

J2磐田で41歳の元日本代表MF遠藤保仁は、J1昇格を今季の目標にチームをけん引する。

日本代表で歴代最多152試合出場を誇るプロ24年目のベテラン司令塔。J1でも641試合の最多出場記録を保持している。地元の鹿児島実から横浜フリューゲルスに入団。その後は京都、G大阪を経て、2020年10月にG大阪から磐田に期限付きで加入後は、J2で15試合に出場して2得点。チームを6位まで引き上げた。

遠藤は1999年にナイジェリアで開催されたワールドユース(現U―20ワールドカップ)で準優勝した小野や稲本潤一、高原直泰らに代表される「黄金世代」の1人。2019年以来のJ1復帰を目指す磐田での新シーズンへ向け、いぶし銀の輝きを放つ技巧派MFは静かに闘志を燃やしている。

41高原直泰は沖縄でコーヒー農園も

「黄金世代」は今も健在だ。サッカー元日本代表FWで41歳の高原直泰は新天地の沖縄でユニークな活動に取り組む。自身が設立したサッカークラブ「沖縄SV」のオーナー兼選手として将来のJリーグ昇格を夢見る一方、地元で「コーヒー農園」の経営にも乗りだし、スポーツを通じて「サッカーと沖縄産コーヒーを全国区に」と地域振興に力を注いでいる。

元日本代表で41歳のMF稲本潤一は2002年W杯日韓大会では2得点を挙げ、日本代表初のベスト16に貢献した立役者でもある。 今季もJ2相模原との契約更新を発表し、現役を続行する。

「キング・カズ」とサッカー界の歴史を切り開いてきた元日本代表FWで53歳の中山雅史は1月、昨季まで選手登録されていたJ3沼津を退団し、J2磐田のコーチに就任すると発表された。

それでも近年は科学的なトレーニングや食事療法などでスポーツ選手の競技寿命が延び、年齢を重ねてもピッチに立つことをあきらめない40代Jリーガーも少なくない。彼らはそれぞれの場所で今季も輝きを放ちそうだ。

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