過去W杯では1勝2分け11敗、高くそびえる欧州列強の壁
FIFAワールドカップカタール2022の組み合わせ抽選会の結果、日本はドイツ、スペイン、大陸間プレーオフ勝者(コスタリカorニュージーランド)と同じ組に入った。
ドイツ、スペインとはワールドカップで初顔合わせ。日本はドイツに2006年大会本番前の親善試合で2-2、スペインとは2001年の親善試合で0-1と善戦している。ただ、どちらもいわゆる“練習試合”。強国の本当の強さは、本大会で対峙しないとわからない。
そこでオーストラリアを加えたアジアの同胞と、両国との過去のワールドカップでの対戦結果を調べてみた。すると案の定、惨憺たる結果が並んだ…。
1974年西ドイツ大会から2018年ロシア大会まで、アジア勢はドイツ(西ドイツ)、スペインと計14試合を戦い、1勝2分け11敗(2002年日本/韓国大会で韓国がPK勝ちしたスペイン戦は引き分け扱い)。内訳を見ると対ドイツは1勝7敗、スペインには2分け4敗と未勝利が続いている。
特に痛い目に合っているのがオーストラリアとサウジアラビア。前者は3戦すべて3点差以上の完封負け、後者は2002年日韓大会でドイツに0-8の歴史的大敗を喫している。
しかしながらよく見ると、それらを除けば1994年アメリカ大会以降、1点差負けの接戦が増えてきているのも事実。さらに、韓国に限ってはスペインに2度引き分け、そして前回大会では2014年ブラジル大会王者・ドイツを2-0で破る大金星を挙げた。
ボール保持率でスペインを超えた韓国
ドイツ、スペインが辛酸をなめた3試合では、韓国が伝統的に強いとされている「メンタル」と「フィジカル」を遺憾なく発揮したといえるだろう。
1994年アメリカ大会のスペインとのグループステージ(以下GS)初戦では、2点のビハインドを負ったが、相手のDFナダルの退場や暑さによるスタミナロスが追い風となり、執念の粘りを見せる。柏レイソルなど日本でもプレーしたDFホン・ミョンボが85分に得点し、さらに終了間際のゴールで追いついたのだ。
8年後の日韓大会で韓国は旋風を起こす。ラウンド16のイタリア戦では延長戦のゴールデンゴールによりアズーリを撃破し、準々決勝スペイン戦へ。そこでも延長戦までもつれ、PK戦を制し、アジア初のベスト4進出を果たした。イタリアしかりスペインしかり、主審の判定に泣かされる場面はあったが、単純に運が韓国に味方しただけではない。
準々決勝では前試合、イタリアとの117分間の死闘の疲れも見せず、驚異的な運動量、プレッシングでスペインに対抗。なんとポゼッション率では、52%対48%と韓国が上回っていたのである。
その背景には、科学的なトレーニングも駆使し、選手のコンディションとモチベーションを高め、大会本番にアジャストさせたフース・ヒディンク監督の功績があったに違いない。
準決勝ドイツ戦も勢いは止まらず、ポゼッション率は50%のイーブンに。前半には右サイドの速攻から絶好機が訪れるも、名手オリバー・カーンのビッグセーブに阻まれる。その後も地元大観衆の後押しを受けて果敢に挑み、欧州列強から“3度目の奇跡”を起こしても不思議ではなかったが、ゴールを破れず涙を飲んだ。
前回ロシア大会のジャイアントキリング
それ以来、16年ぶりのドイツとの再戦が、2018年ロシア大会GS最終戦。戦前の状況は2敗の韓国に対し、当時FIFAランク1位のドイツは1勝1敗。韓国はGS突破へ一縷の望みをかけて臨み、ドイツは無条件で16強に進むには2点差以上で勝つ必要があった。
試合は戦前の予想通りドイツが優勢。ポゼッション率74%、デュエル勝率62.4%、空中戦勝率65.4%といずれも韓国を上回る。だが如何せん、決定力を欠いた。
シュート26本中、枠内に飛んだのは6本のみ。ドイツの拙攻にも助けられたが、韓国の諦めないメンタリティーは称賛に値する。まさに最後の最後、アデショナルタイムに2点を奪い、世界を震撼させたのである。
韓国はドイツ、スペインと同組で3位に
逆に反面教師としたいのが、1994年アメリカ大会における韓国。実はこの大会で韓国はドイツ、スペインと同組に入る「2強2弱」の争いを経験している。対戦順こそ先にドイツと当たる日本と異なるも、前記の通り初戦の対スペインでドロー、3戦目の対ドイツは0-3から1点差に迫る善戦を演じた。
だからこそ悔やまれたのが、スコアレスドローに終わった2戦目のボリビア戦。当時の出場国数は24カ国だったため(現在は32カ国)、各組3位の中から成績上位の4チームが決勝トーナメントに進めた。2勝1分けのドイツ、スペインに次ぐ3位だった韓国は、もし仮にボリビアに勝っていれば、16強入りが濃厚だった。
現在は、各組の上位2チームしかノックアウトステージに上がれないので、2弱同士の対戦で勝ち切ることが一層ノルマになる。森保ジャパンがドイツ、スペインばかりに気を取られて、コスタリカorニュージーランドに足元をすくわれないことを願う。
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