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日本に追い風?サッカーW杯優勝経験国が同組の場合「両雄並び立たず」

2022 4/9 06:00木村健
サッカーワールドカップカタール大会グループE,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ドイツ、スペインと同じE組の日本

4月1日(日本時間2日未明)にドーハでサッカーW杯カタール大会の組み合わせ抽選会が行われた。

日本代表はE組でドイツ(11月23日)、コスタリカまたはニュージーランドの大陸間プレーオフ勝者(同27日)、スペイン(12月1日)との対戦が決定。ドイツとスペインのW杯優勝経験2カ国が入っていることから「2強2弱」と言われるが、果たして順当な結果に終わるのか。過去のW杯データから検証したい。

W杯優勝経験国が同居したケースは過去4度

W杯優勝経験国は8カ国(ブラジル5回、ドイツ4回、イタリア4回、アルゼンチン2回、フランス2回、ウルグアイ2回、イングランド1回、スペイン1回)。現行の32カ国出場となった1998年フランス大会以降、W杯優勝国が複数国同グループになったケースは4度ある。

2002年日韓大会ではA組でフランスとウルグアイ、F組でアルゼンチンとイングランドが同じ組に入った。

2010年南ア大会ではまたフランスとウルグアイがA組。2014年ブラジル大会はイタリアとイングランド、ウルグアイの3カ国がD組で同居した。

このうち決勝トーナメントに進出できたのは2002年のイングランド、2010年のウルグアイ、2014年のウルグアイでのべ9カ国中3チームだけだ。順当にW杯優勝経験国2カ国が決勝トーナメントに進出したことはない。

ワールドカップ優勝経験国が同組

のべ9カ国の初戦戦績は1勝2分け4敗

02年のフランスは前回王者として開幕戦でセネガルと対戦し0-1の敗戦。同じくウルグアイもデンマークに初戦で敗れた。両国とも初戦で敗れ、1次リーグを突破したのはセネガルとデンマークだった。

同年のアルゼンチンは初戦ナイジェリア戦で勝利もその後は連敗。イングランドはスウェーデンと引き分けたが、第2戦でアルゼンチンに勝利した。最終的に勝ち点5で並んだスウェーデンとイングランドが決勝トーナメントに進出した。

10年のフランスは初戦でウルグアイと引き分けたが、その後のメキシコ、南アフリカに敗れた。逆にウルグアイは南ア、メキシコに競り勝って1位突破を決めた。ベスト16に進んだのは、ウルグアイとメキシコ。フランスは監督と選手、また選手同士のトラブルが露呈し、1勝もできなかった。

“グループDeath”と言われた14年のウルグアイは初戦でコスタリカに敗れるも、その後のイングランド、イタリア戦で連勝。一方のイタリアは初戦イングランド戦で勝利したが、その後はコスタリカとウルグアイに連続黒星。イングランドは連敗スタートとなり、1勝もできずに大会から姿を消した。死の組を勝ち上がったのはコスタリカとウルグアイだった。

のべ9カ国の初戦戦績は1勝2分け4敗。勝率は決して高くなく、黒星スタートから巻き返したのは、14年のウルグアイのみという結果になっている。

原因はピーキングとダークホース

02年大会A組のデンマークは98年フランス大会でベスト8、F組のナイジェリアも同ベスト16に入った強豪で、決して「2強2弱」の構図だったわけではない。

ただ02年大会のフランスはW杯初出場国のセネガル戦に100%の照準を合わせていなかった。98年時のような強さを発揮しきれず、要因の一つはピークの持っていき方にあったことが窺える。

そしてW杯優勝国経験国同士の対戦後、次戦の各国戦績から浮かび上がるものもある。9試合がそのケースに当てはまるが、通算2勝3分け4敗。消耗度の激しさは否めないだろう。

最後はダークホースの存在。14年大会はコスタリカからの勝ち点3はどこも計算していたはずだ。そこに風穴が空くと混戦模様をつくりだす。勝ち上がったW杯優勝経験国以外のチームは、全て初戦で勝ち点を得ている。

日本としては、まずドイツ戦に100%の状態をつくって勝ち点を獲得することが最重要命題。勝ち点5~7のグループを形成できれば第2戦、3戦目の戦い方に幅が拡がる。

何が起こるか分からないのがサッカーであり、“ジャイアント・キリング”が起きやすいのもW杯の魅力だ。決して2大会連続決勝トーナメントのチャンスがないわけではない。

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