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森保一、オシム、佐々木則夫…サッカー歴代代表監督の心に染み入る名言集

2021 6/2 18:00梶井誠
現代表監督:森保一Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

現代表監督、森保一が語った「監督は選手の“心”を預かる仕事」

サッカーの歴代日本代表監督の「忘れられない名言」をプレイバックしたい。1人目は現代表監督に敬意を込めて、森保一監督の名言を紹介。森保監督は、サンフレッチェ広島の中心選手として活躍後、同チームで育成コーチ、トップチームコーチ、監督を歴任。現在はA代表と、東京オリンピックの男子代表監督を兼任する。

サンフレッチェ広島の監督として、4年間で3度のリーグ制覇を達成したが、広島では「競争させる」というチームマネジメントによりチームを活性化。スター選手の少ないチームの指導者として優勝に導いている。

その采配に関しては、「監督は選手を一つの駒として扱わなければいけないが、選手にはみな“心”があると思っていますし、選手の“心”を預かる仕事だというふうに思っています」と語っている。

森保監督の前のヴァヒド・ハリルホジッチが解任されてから、サッカー協会や技術委員会などが、「日本人らしいサッカー」を標榜し始めたが、森保監督の“心”論はまさに日本人化そのもの。就任会見でも「覚悟と感謝の気持ちを持って職責を全うしたい」と語っていた。

A代表と東京五輪代表の監督を兼任するという、フィリップ・トルシエ監督以来の大仕事の一つが目前の今、海外組のオールスターのA代表と、次代を担うU-24のフレッシュな顔ぶれの最高の選手を集めたエリート選抜チームの舵取りやいかに。

「日本と日本人の長所」といえばイビチャ・オシムが刺さる

「日本人らしいサッカー」を追求する現代表チームだが、もともと「日本サッカーの日本化」をテーマに代表監督に就任したのがイビチャ・オシム氏だった。

2006年に代表監督に就任し、病気療養のためわずか20試合で去ったが、今でも「あのままオシムが代表監督だったら…」とサッカー通の中で語られ続ける名将で、名言の宝庫としても知られている。

日本代表監督就任会見で「日本代表の日本化を試みる」と宣言したオシムサッカーは、人もボールも有機的に動く運動量が豊富な戦術だったが、それを象徴するのが、「水を運ぶ人」という例えだ。オシムは、「サッカーはバランスを保つために水を運ぶ選手が必要だ。ただ大量の水を運べばいいわけではない。おいしい水でなければならない」と語り、ゴールまで水=ボールを運ぶ人としてボランチの役目が俄然注目を集めた。

この水を運ぶ人の例えは、ビジネスルールの“報連相”ができる人にも置き換えられて、オシムの至言として今も語り継がれている。

なでしこジャパンをW杯で勝たせた佐々木則夫の指導の根幹

2011年3月の東日本大震災から約4ヵ月後、FIFA女子W杯ドイツ大会の決勝に進んだなでしこジャパン(日本女子代表)は、アメリカとの激闘を制して見事に優勝。震災で気持ちが沈んでいた日本に大いなる勇気を与えた。

その指揮官の佐々木則夫監督の名言として伝わるのは、「成功の反対は失敗ではなく“やらないこと”だ」という言葉。失敗を恐れず、挑戦することでしか成功は手にできないというのは、まさに当時のなでしこジャパンが置かれた境遇でもあり、代表選手たちの「女子サッカーに陽の目を当てたい」という強い想いが、前代未聞のW杯優勝として結実している。

先日、大宮アルディージャのトップチームの指揮を執ることになった佐々木氏の手腕にも注目したい。

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