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女子プロサッカー「WEリーグ」12日開幕!いきなり優勝候補が激突

2021 9/4 06:00梶井誠
清水梨紗,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

第1節注目は日テレ・ベレーザvs浦和レッズレディース

東京五輪の準々決勝でスウェーデンに完敗を喫したなでしこジャパン主軸選手の岩渕真奈は、敗戦後に「今後、女子サッカーが発展する上で、代表チームが強くないといけない」と語ったが、代表チーム作りの土台となる日本初の女子プロサッカーリーグ「2021-22 WEリーグ」が、いよいよ9月12日(日)に開幕する。

女子プロサッカーリーグとして誕生するWEリーグのWEは、「Women Empowerment League」の略。この“Women Empowerment=女性のエンパワーメント”からは、時代とリンクする様々な意味が読み取れて興味深い。

記念すべき新リーグの第1節は、9月12日(日)に各ホームスタジアムで行われる。前季までのなでしこリーグ1部がWEリーグというトップカテゴリーになるわけだが、東京五輪を挟んで、初年度に参加するのは全11チーム。各チームともプレシーズンマッチや合宿などを行ってチーム作りを進めてきている。

特にプロリーグになることで選手の移籍や獲得なども各チームが積極的に行っているので、なでしこリーグ時代からのファンの注目度も高い。

第1節の注目カードは、味の素フィールド西が丘(13時半キックオフ)の「日テレ・東京ヴェルディベレーザvs三菱重工浦和レッズレディース」だろう。なでしこリーグ1部で2015年から19年まで5年連続優勝している日テレ・ベレーザと、2020年に悲願の優勝を果たした浦和レッズレディースの直接対決が行われる。

ホームの日テレ・ベレーザの魅力は、遠藤純、植木理子、小林里歌子のFWで、中盤の核となる三浦成美、DFのベテラン石清水梓、清水梨紗らのなでしこ組が、強力なFW陣をしっかり支える。特に、清水梨紗には、絶頂期の内田篤人ばりのサイドからのゲームメイクを期待したい。

WEリーグ初代チャンピオンを狙う浦和レッズレディースは、FWの菅澤優衣香と安藤梢のコンビネーション、MF猶本光のゲームメイク、DF南萌華、長船加奈の守りなどに注目が集まるが、なでしこリーグ1部優勝を決めた試合では、長船、猶本、安藤らが得点を決め、ポジションに関係ない得点力を見せつけている。

第2節はノジマステラ神奈川相模原の戦いぶりに注目

9月20日(月・祝)の第2節で見逃せないのは、浦和駒場スタジアム(17時キックオフ)の「三菱重工浦和レッズレディースvsノジマステラ神奈川相模原」だ。J2で戦うSC相模原とともに相模原ギオンスタジアムをホームとするノジマステラ神奈川相模原は、2017年から20年までなでしこリーグ1部を戦い、20年は10チーム中8位に終わったが、チーム方針として「育成型クラブ」を目指しつつ、WEリーグ開幕に向けて積極的に補強を行ってきた。

Jリーグで様々なクラブを20年以上にわたって指導してきた北野誠監督のもと、セレッソ大阪堺レディースから移籍し、10番を背負うのがMF脇坂麗奈。東京五輪前の代表候補メンバーにもノジマステラ神奈川相模原から唯一選ばれている注目株だ。

さらに、今シーズンのキャプテンを勤めるMF松原有沙はA代表の経験を持つ選手で、副キャプテンのDF大賀理紗子、FW平田ひかりとともにチームをまとめていくはずだ。

WEリーグは、リーグの安定化のために複数年は降格がないので、ノジマステラ神奈川相模原のような新興チームは、ベテラン監督のもとで着々と強化を図っていくはず。そのステップアップをウォッチするのもサッカーを観る新しい視点になるだろう。WEリーグはDAZN(ダゾーン)で全22節・110試合が放映される。

東京五輪で露呈した「球際の強さ」や「技術不足」の解消につながるか

今月のWEリーグ開幕から、2023年7月にオーストラリアとニュージーランドで共催される女子W杯までのロードマップを見ると、来年1月に23年W杯アジア予選を兼ねるAFC女子アジアカップがインドで開催される。23年W杯は出場国が24から32に拡大し、中国や韓国、東南アジア、中近東などのアジア勢も強化をしてくるはずだ。

この段階で、なでしこジャパンの東京五輪に関する総括は報道されていないが、選手にとっては、WEリーグでの活躍がなでしこジャパン選出への大きなカギとなるのは間違いない。プロ化するリーグの新・勢力図とともに、五輪で指摘された選手個々の弱点を克服し、新しいヒロインの誕生を期待したい。

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