日本では2022年7月1日から施行?
FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長が、オフサイドルールの大幅改正をテストしていると正式に発表した。改正内容は「オフサイドラインより前方に身体の一部があっても、少しでも身体の一部が残っていればオフサイドではない」というものだ。
先日開催されたFIFA総会で、「ワールドカップを2年周期にする」という議論が行われたというニュースが届いてすぐ、今度は「オフサイドラインに身体の一部が残っていれば、オンサイドとみなされる」というオフサイドルールの改正が報じられた。そのニュースを認めた日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「導入は来年7月1日になると思う」とコメントしている。
ルール改正は「サッカーのエンタメ化」狙い
現行のルールでは、攻撃側の選手の身体の一部でも、相手の後方から2人目(GKを含む)の選手より前に出ていればオフサイドになるが、導入予定の新ルールになると、攻撃側の選手の後ろ足のつま先でも残っていればオンサイドとなり、戦術やDF配置が大きく変わることは必至。ルール改正は明らかに得点機会を増やすことが狙いだと言える。
スポーツのエンタメ化で記憶に新しいのは、バレーボールの試合方式の変更。1999年に現在の「25点先取・ラリーポイント制」になる前は、サーブ権のあるチームだけに得点が入る15点サイドアウト制だったが、この方式ではサーブ権だけ移動して得点が動かないというデメリットがあった。ラリーポイント制ではサーブ権の有無にかかわらず得点が入るので、エキサイティングな試合になり、テレビ放映に適した2時間以内に試合が終了するというメリットも生まれた。
同じように、卓球では長く21点制だったのが、2001年から11点先取のゲームが導入され、より緊張感があるスピーディーな試合が見られるようになって、卓球人気を押し上げる要因になっている。
オフサイドのルールが改正され、得点が増えることでサッカーは今より面白くなるのだろうか。
ルール変更ならJリーグも全試合VARの導入すべき
現行ルールのオフサイドでもかなり微妙な判定で、試合の勝敗が左右されることもままあるが、ルールが劇的に変更されると今の主審と線審だけの目では追いつけないことは確実だ。
現在、Jリーグでは「別の場所で映像を見ながらフィールドの審判員をサポートする審判員」=VAR(ビデオアシスタントレフェリー)は、J1リーグ戦、スーパーカップ、YBCルヴァンカップ・プライムステージの試合でのみ導入されており、J2以下のリーグ戦、トーナメント戦には導入されていない。
来年の夏から新オフサイドルールが採用されるなら、公平・公正を期すという意味でも、Jリーグに関する試合すべてにVARを導入すべきだろう。それほどこのオフサイドルールの変更は、チームにとっても選手(DF)にとっても脅威を感じるものだ。
ただし、VAR判定が頻繁になると、ゲームが途切れ途切れになって、サッカーならではのダイナミックさが失われることも危惧される。VAR判定が出来る国際審判の育成なども急務になるはずで、サッカー界は来年に向けて大きく変わっていくことが予想される。
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