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釜石はラグビーとともに 釜石鵜住居復興スタジアムに込められた想い

2018 8/17 13:00SPAIA編集部
釜石鵜住居復興スタジアム,ⒸSPAIA
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各地の想いが詰まった絆シートと最新鋭の天然芝

杉の座席以外にも、特徴的なシートがある。メインスタンドの最前に設置された、その名も「絆シート」。W杯開催を支援するために全国各地から寄贈された座席だ。

メインスタンド中央最前には東京ドームの改修時に寄贈された座席を120席、その左右に北上市寄贈の旧国立競技場の座席(いわて国体開催時に国立競技場の改修に伴って北上市に寄贈されたもの)と熊本県民総合運動公園陸上競技場の座席(熊本県から寄贈)をそれぞれ240席設置。特に熊本の座席は、ラグビーW杯開催にあたって改修する際に寄贈されたもので、「同じ被災地、同じW杯開催地で一緒に頑張っていきましょう」という想いが詰まった座席となっている。

釜石鵜住居復興スタジアム,ⒸSPAIA


また、メイングラウンドの芝生には、ハイパフォーマンスなプレーが実現できるようにと、日本で初導入のハイブリッド型天然芝「エアファイバー」を採用。この芝は、フランスで実績がある床土改良型と呼ばれるものである。

表面上は普通の天然芝だが、下層にマイクロファイバーという人工の繊維質とコルクを混ぜ合わせたものが積層されている。この層と芝の根が絡みつくことによって、はがれにくく、床ずれが起きにくい構造となっており、従来の天然芝に比べ非常に耐久性が高い。また、保水性にも優れており、水撒きの頻度低減が見込め、メンテナンス性にも優れた芝だ。

釜石鵜住居復興スタジアム,ⒸSPAIA

防災避難のシンボリックな場所として

同スタジアムは、2011年東日本大震災前、鵜住居小学校・釜石東中学校があった跡地に建設されている。両校は、震災の際、生徒600人全員が無事に避難できたことで世界的に注目を集めた。このことは、地域にとって明るい光であり、かけがえのない教訓となっている。そのため、釜石鵜住居復興スタジアムも震災からの学びを後世に伝え、受け継いでいく、防災避難のシンボリックな場所としての役割を担う。

しかし、津波の被害が大きかったため、海外から訪れる観戦者の立場で考えると、津波が来た場所というイメージが強く、安心して観戦するには不安が残る。その不安を和らげるために、釜石市は防災に力を入れており、津波の避難シミュレーションを実施し、最寄りの高台に何分で到達できるか、万が一津波が来た時にどう誘導すれば効率的に逃げられるか、といった避難及び防災計画を策定した。

また、津波の際の緊急避難に備え、スタジアムのすぐ裏手には2か所の避難場所があり、緊急避難道として全長約1,300mの森林作業道が活用できる。万が一逃げ遅れてしまった場合や、逃げるのに時間がかかる人でも安心してすぐ山道に逃げることができ、東日本大震災の教訓が活かされた設計だ。

他にもバックスタンド裏の地中には、耐震性の貯水槽及び貯留槽を設置。W杯開催時には、飲水、トイレ用水としてそれぞれ使用するほか、震災等の災害時の消火や災害復旧のためにも利用可能だ。

釜石鵜住居復興スタジアム,ⒸSPAIA

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