チームに地名で1部12チーム、入場券最高額5万2000円
ラグビーのトップリーグ(TL)が刷新され、2022年1月から新リーグ「リーグワン」に生まれ変わる。
来年1月7日に東京・国立競技場で行われる開幕戦は、東京ベイ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)―埼玉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の好カード。TLは企業スポーツとして発展してきたが、地域密着を目指してチーム名に本拠地の地名が入ってくるのが大きな特徴だ。
24チームの3部構成となり、最高峰の1部に12チーム、2部に6チーム、3部に6チームが所属する。1部と2部、2部と3部の入れ替え戦も毎年実施する計画だ。
リーグワンの1部は各6チームの2組(カンファレンス)に分かれ、ホームアンドアウェー方式の総当たりを実施。他組のチームとの各1試合の交流戦も実施するため、各チームは16試合を戦う。上位4チームが王者を決めるプレーオフトーナメントに進出する。
チケット販売概要も発表され、最も高額の「オープニングセレブレーションシートプレミア」は5万2000円の設定となった。購入者は専用ラウンジでの飲食の提供、肘掛け付きの座席で試合観戦が可能で、特典として非売品マフラーやオリジナルチケットのお土産もある。
最も安価なサポーターズシートは大人の前売り価格で3500円。幅広い価格帯にし、チケットは2021年11月11日11時11分から日本ラグビー協会のメンバーズクラブなどで先行抽選販売が始まる。一般販売は12月10日からだ。
2019年W杯の熱気を再び
リーグワンのビジョンは「あなたの街から、世界最高をつくろう」。ミッションは4本柱で①ファンが熱狂する非日常空間の創造②日本ラグビーの世界への飛躍③地元の結束、一体感の醸成④社会に貢献する人財の育成―をテーマに掲げる。
2019年に日本で初めて開催されたワールドカップ(W杯)で日本代表が史上初のベスト8入りを果たし、にわかファンも含めてラグビー人気が一気に高まった。当時の熱気をよみがえらせてW杯の遺産を受け継ぎ、さらなるファン拡大を図って、日本ラグビーの質と技量の競技レベルも向上させることが新リーグの大きな狙いだろう。
海外クラブとの対戦構想「クロスボーダーマッチ」も
新リーグの目玉の一つとして、リーグ戦後に計画されている海外チームとの「クロスボーダーマッチ」の存在もある。
新リーグ1部の上位数チームが強化の一環で海外チームと対戦するもので、日本選手の競技力アップと人気拡大を目指す。新型コロナウイルスの影響で難航も予想されるが、日本から南半球の最高峰リーグ「スーパーラグビー」に参戦していたサンウルブズが2020年限りで活動を事実上終えた背景もあり、実現すれば貴重な真剣勝負の場となる。
12チーム中5チームはチーム名に「東京」
1部のカンファレンス分けは2021年のTL最終順位などを基に振り分けられた。
【Aカンファレンス】
「埼玉」埼玉パナソニックワイルドナイツ
「東京ベイ」クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
「神戸」コベルコ神戸スティーラーズ
「横浜」横浜キヤノンイーグルス
「浦安」NTTコミュニケーションズ・シャイニングアークス東京ベイ浦安
「東葛」NECグリーンロケッツ東葛
【Bカンファレンス】
「東京SG」東京サントリーサンゴリアス
「トヨタ」トヨタヴェルブリッツ
「大阪」NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
「BR東京」リコーブラックラムズ東京
「BL東京」東芝ブレイブルーパス東京
「静岡」静岡ブルーレヴズ
リーグワンの初代王者はどのチームになるか。Aカンファレンスで開幕戦に登場する東京ベイの大黒柱は立川理道。TL最後の王者となった埼玉と対戦する。
東葛はW杯で活躍した元日本代表のSH田中史朗が今季から移籍し、東京五輪の7人制ラグビーで奮闘したエース松井千士は横浜でプレーする。
TL初代王者の神戸製鋼は「コベルコ神戸スティーラーズ」に名称を変更し、リーグワンでも1年目から頂点を狙う。1928年創部で、80年代から90年代に日本選手権を7連覇した名門だ。
成功の鍵は全国でのラグビー普及。現状ではチームの練習拠点が都市部に集中するため、1部は首都圏をホストタウンに定めるチームが12チームの中で8チームと一極集中。5チームはチーム名に「東京」がついている。
サッカーのJリーグは全国各地に幅広くクラブが存在。地域性を重視する新リーグ構想の中で、ホストエリア問題は今後の課題となりそうだ。
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