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元プロ野球コーチが教える「関節の可動域を広げるストレッチ」

2019 9/23 06:00SPAIA編集部
山下千春氏ⒸSPAIA
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体が硬かったイチローや石井浩郎

こんにちは!山下千春です。前回は阪急、オリックス、近鉄、韓国・起亜タイガースのトレーニングコーチ時代にやってきた健康体操をお伝えしました。今回は体の硬い方が関節の可動域を広げるためのストレッチをご紹介します。

入団当時のイチロー選手や近鉄時代の石井浩郎選手は体が硬かったんです。1994年に打点王を獲った石井選手は腰痛持ちだったので、試合前に必ずこのストレッチをしていましたね。ただ、柔軟性には静的柔軟性(柔軟体操・ストレッチ等)と動的柔軟性(動きの中の柔らかさ・しなやかさ)があって、好成績を残している選手は動的柔軟性が高いと言えます。今回は静的柔軟性を高めるためのトレーニングです。

①腰・股関節を意識した前屈運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。体の硬い人がいきなり柔軟体操してもあまり柔らかくなりません。膝を曲げ、リラックスした姿勢で行うと体の硬い人でも上半身を前に倒すことができます。頭を爪先に付けるイメージで行います。曲がりやすくなり腰と背筋と股関節が伸びます。

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16呼間終わったら、そのまま動かずに下を向いた体勢で15秒間から20秒間のストレッチを行います。腰から背中、股関節を意識して頭を爪先に持っていきます。

②左、右交互に膝・大腿部の裏側を伸ばす前屈運動(膝を伸ばした重し)

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。左足を伸ばし、その上に右足を伸ばし、重しにして乗せます。そのまま左膝の裏から大腿部、左の腰を意識して軽く反動を使います。次に逆の足も同じ動作を行います。

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16呼間終わったら、そのままストレッチを15秒から20秒間行います。爪先を持てる人は持ち、持てない人は足首、または脛の位置で行います。

体の硬い人はタオルを使ってみても良いです。タオルを自分の方に引っ張りながら体を倒していくと膝の裏から大腿部、腰にかけて伸びていきます。

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③左、右交互に膝・大腿部の裏側を伸ばす前屈運動(足を曲げた重し)

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。左足を伸ばし、その上に右足を曲げ、重しにして乗せます。そのまま左膝の裏から大腿部、左の腰を意識して軽く反動を使います。クロスしてやるので膝を伸ばした重しよりもきつくなります。右の膝の裏から大腿部、腰にかけて伸びていきます。次に逆の足も同じ動作を行います。16呼間終わったら、そのまま動かずに下を向いた体勢で15秒間から20秒間のストレッチを行います。

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④足裏を合わせ両踵を股関節に引き付け股関節と腰回りを伸ばす運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。両足のかかとを自分の方に引き付けます。両膝を20~30回くらい、外に広げて上下運動をし股関節の柔軟性を高めます。外側を意識し行います。16呼間の後はそのままの体勢で15秒間から20秒間のストレッチをします。

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⑤斜め横の前屈運動と体側運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。左足を開き、左斜め前に上体を倒しながら、左手で左爪先を持ち、16呼間左側に反動を使って倒します。その後、15秒から20秒間のストレッチをします。

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続いて右手を伸ばしながら、胸を張ります。左の方に倒しながら、16呼間右の体側、わきの下を反動を使いながら伸ばします。その後、15秒間から20秒間ストレッチをします。

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同様に左足を曲げて右手で右の爪先を持って16回行います。

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次に逆の足も同じ動作を行います。

⑥開脚した前屈運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。両足をできるだけ開脚して、大腿部の内側(内転筋)を意識して伸ばします。バランスを取れない人は膝を曲げても良いです。できるだけ伸ばして爪先を立て、正面に体を倒します。

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16呼間終わったら、上体をそのまま前に倒し、内股が突っ張った状態で15秒間から20秒間のストレッチを行います。

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⑦開脚した状態で上体を少し前屈し左右交互に捻転する運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。前屈した状態から少し倒し、左右交互に連続して捻っていきます。

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⑧開脚した状態で胸を張り両手を後頭部において左右に倒す体側運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。両手を頭に置き、胸を張った状態で、左肘を左膝、右肘を右膝の方に倒します。

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⑨開脚した状態で両手を後方へ回しながら捻転を強くした運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。足を開いたまま両手を後ろに持っていき、状態を捻ります。

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⑩仰向けの状態で両足を揃えて曲げ左右交互に両膝を倒して腰から下を捻る運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。仰向けになり、両膝を立てて両足を揃えます。両膝を左右交互に倒していきます。

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16呼間終わった後、倒れている方向に15秒から20秒間のストレッチをします。逆も同じように行います。

⑪マットの幅に足を広げ両膝を左右交互に内側に倒す股関節の運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。膝を内側にして左右交互に倒していきます。

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⑫大腿四頭筋と腰・背中のストレッチ

倒れている右膝の上に左足を乗せます。大腿部と腰のストレッチになります。背伸びをするような格好で15秒間から20秒間ストレッチします。

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できるだけ左膝を真ん中に置いて右足を重しにして乗せます。左の大腿部から腰にかけて伸びていきます。その後、15秒間から20秒間のストレッチをします。逆も同じように行います。

⑬うつ伏せの状態で右足、左足交互に捻る運動

1呼間から16呼間まで連動した動作で行います。うつ伏せになり、右足、左足を交互に膝を曲げながら左右交互に捻っていきます。

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⑭腰・背中・腕のストレッチ

両手を横に置き、ゆっくりと上体を起こして顔を上げながら胸を張ります。できるだけ下にへそを突き出す形で15秒間から20秒間、体を反らしてストレッチをします。

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そして両手を前に持っていき、ゆっくりと腰を後ろに引いて両腕、両肩、背中に負荷がかかるようにストレッチをします。両肘をしっかり伸ばした状態が、最も負荷がかかります。15秒間から20秒間ストレッチをします。これを2回繰り返します。

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以上になります。体の硬い人や可動域の小さい人の柔軟性が高まり、腰痛や肩凝りの予防にもなります。阪急の山田久志投手はよくストレッチをしていました。プロ野球選手は連日試合があり、遠征ではバスや新幹線、飛行機で座ったままの移動が多いので腰が痛くなったり、疲れてくると筋肉が萎縮したりします。ストレッチ、柔軟体操をすることで気持ちもリラックスできます。

ただ、体の硬い人が無理にやると壊してしまいます。できる範囲で柔らかく、軽く反動を使ってやるのがコツです。心地いい痛さが目安ですね。

ストレッチはボブ・アンダーソンという人が考案したもので、15秒から20秒が理想とされています。可能なら、前回にご紹介した健康体操と今回のストレッチを両方やった方が、より効果的ですね。

山下 千春(やました・ちはる)1953年5月6日、鹿児島県出身。鹿児島南高時代に400メートルハードル(当時の高校記録樹立)と1600メートルリレーでインターハイ優勝。順天堂大時代にも400メートルハードルでインカレ優勝し、モントリオール五輪代表候補に選出。卒業後、故郷での体育教師を経て、1981年にトレーニングコーチとして阪急ブレーブス入団。福本豊や山田久志、加藤秀司、蓑田浩二ら阪急黄金時代のメンバーを指導した。オリックスでは新人時代のイチロー、1994年に近鉄に移ってからは石井浩郎、野茂英雄、中村紀洋らを指導し、2005年から韓国・起亜タイガースでもトレーニングコーチを務めた。

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