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【スポーツ×ツーリズム】第3回 スポーツツーリズムは地方創生に活かせるか?①

2018 9/14 15:00藤本倫史
スポーツ×ツーリズム,ⒸShutterstock.com
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スポーツツーリズムは地域創生の鍵?

前回、倉田氏に伺った「スポーツ×ツーリズムの現状や課題について」の中でポイントとなったのは、地方都市が本気でプロジェクトを行えば、スポーツツーリズムは地域活性化の重要なツールになるということだった。

3大都市圏では、既に東京マラソンなどのビックイベントが開催され、国内トップの観光都市である沖縄では、NAHAマラソンなどスポーツコミッションを設立し成功を収めている。だが、このような成果が一番欲しいのは、人口規模も小さく観光資源にも恵まれていない地方都市ではないだろうか。今回は、このような都市を事例に挙げながら地方創生の可能性を探る。

私は現在、広島県福山市という人口約47万人の中核市に居住している。中核市とは『人口20万人以上の要件を満たす政令指定都市以外の規模や能力などが比較的大きな都市の事務権限を強化し、できる限り住民の身近なところで行政を行なうことができるようにした都市制度が中核市制度』であり、現在は全国に54市ある。

《参考リンク》中核市市長会HP

このような都市のスポーツと地域活性化やスポーツツーリズムの研究を行っている私は、特に居住している福山市の研究を推進している。JFEをはじめとしたナンバーワン・オンリーワンの企業が多く集積している福山市は、製造業のまちである。そして、他の都市同様に人口減少や市街地の空洞化などの問題がある。

地方都市の抱える問題

ゆえに、福山市が少しでも魅力ある都市になるために様々な施策を実施している。施策の1つであるスポーツ分野がスポーツ推進計画を策定した昨年、私はアンケート調査などに携わった。

注目しているのは2020年3月に設立される総合体育館である。この総合体育館は、赤字でやむなく廃止となった競馬場の跡地に建設される。地方都市では様々な議論が起こっているスタジアムやアリーナの建設。ハードを整備することは非常に良いことであると同時に、よく考えなければならないのが現状である。詳しくはスタジアムの章で述べるが、大切なのは手段と目的であり、それを間違えないことである。

多額な税金を投入するスポーツ施設は、特に良く考えなければならない。施設が良くなれば人が集まり、お金を落としてくれるという時代は終わった。まさに情報が飛び交う時代ともいえる現在、検索すれば簡単に娯楽情報を得て選択することが可能だ。前の章でも述べたように、だからこそ人は付加価値をつけなければ選んでくれず、お金も落としてくれない。

ハコモノにならないためには?

いわゆるただのハコモノになってしまうことが一番怖い。都市計画の中で、スポーツがどの位置づけで、どのように活用するのか戦略的に施策を行わなければ、いい結果は出ない。福山市の総合体育館は市街地や主要駅と離れていないため、慎重に考えれば非常に良い施設になるはずだ。

ビジョン、コンセプト、そしてハードを整える。それでようやく、スポーツイベント、スポーツチーム、スポーツプロジェクトなどのソフト部分にたどり着き、スポーツツーリズムとの融合が生まれる。このようなスキームを創らなければ、どれだけ素晴らしいハードとソフトがあったとしても成果は出ない。

スポーツツーリズムを実施する上で大切なのは、この街にとって何が必要なのか何のためにやるのかを見極めることだ。この基本を押さえておく必要があり、倉田氏も「地域一体となって本気で取り組む体制を作れるかが鍵になってきます」と仰っていた。

このような基礎が成り立たないと何をやっても失敗をする。だからこそ、地域はスポーツを活用することについて本気で考えなければならない。

次回はスポーツツーリズムの大きな課題「スポーツ行政のあり方と地域の事例」について見ていきたい。

《インタビュアープロフィール》 藤本 倫史(ふじもと・のりふみ) 福山大学 経済学部 経済学科 講師。広島国際学院大学大学院現代社会学研究科博士前期課程修了。大学院修了後、スポーツマネジメント会社を経て、プランナーとして独立。2013年にNPO法人スポーツコミュニティ広島を設立。現在はプロスポーツクラブの経営やスポーツとまちづくりについて研究を行う。著書として『我らがカープは優勝できる!?』(南々社)など。

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