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日本最高峰のプロボウラー 川添奨太の挑戦

2018 4/13 17:15藤井一
川添奨太
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ⒸSPAIA

川添奨太の2017年

プロボウラー川添奨太がPBA(Professional Bowlers Association)制覇に向け本格的に海外挑戦を始めて2シーズン目を迎える。PBAは世界最高峰のプロボウラーの団体だ。アメリカを中心に欧州、アジア、オーストラリアなどのトップボウラーが集まっている。

川添は1990年に21歳でプロ入り。そのデビューイヤーで日本選手権と並ぶ国内最高峰の大会であるジャパンオープンの決勝トーナメントで2ゲーム連続パーフェクトゲーム達成の末優勝という金字塔を打ち立てた。その後、国内の第一線で活躍を続け、2017年全日本プロボウリング選手権で史上最多、通算5度目の優勝を飾った。最早国内に敵はいない。

川添奨太


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そんな川添だが、PBAの大会ではトップ10入りが4回あったものの、通常上位5人で争われるステップラダー方式による決勝トーナメントには一度も進出できなかった。

「昨年、所属のボウリング場の理解と資金面での協力もあって海外参戦を決めたとき、たぶん、PBAトップレベルとはアベレージで10ぐらい差があると感じていました。それでもひょっとしたら、と思っていましたがそんなに甘くはなかったですね」と川添は振り返った。

競技としてのボウリングに必要なもの

今のボールは優秀なので、初心者でもストライクを簡単に取ることができ、それが続けば200アップもありえるが、プロボウラーでも、レーンコンディションを掴めないと160ぐらいのスコアになってしまうこともある。

一流のボウラーに必要なのは、コントロールと球威、そして対応力である。ボールを強く正確に投げる技術と、レーンコンディションを読む力、その変化に対応する能力を兼ね備えていなければならない。

レーンにはオイルが塗ってあり、その塗り方によってレーンコンディションが安易にも難解にもなるのがボウリングだ。ボールがレーン上を転がっていくので、そのオイルもだんだん少なくなりコンディションが変化する。難解なレベルの塗り方だと変化も激しい。

多くの大会は20~30ゲームを投げる長丁場となっており、トータルピンによって順位が決まる。従って上位進出、さらに最後の決勝トーナメントでのマッチゲームに競り勝つためには極めて高い技術、能力が必須なのだ。

川添奨太と日本ボウリング界の将来

国内のボウリング人気はジリ貧だ。男子に限って言えば2017年の公式戦数は、シニアと新人戦を含めてもわずか12(男女共催を含む)。優勝賞金は最高で500万円(ラウンドワンカップ)、多くは80~150万円と決して高くない。その公式戦も2018年は9まで減ることが決まっている。これでは賞金で生活するトーナメントプロなどいないも同然だ。

川添はすでに数年前からスポット参戦の形でアメリカに渡ってPBAに挑戦していたが、それでは全く通用しないことを肌で感じていた。実力は国内で抜きん出ている。プロスポーツとしてのボウリングを日本で認知させるためにも、PBAをはじめとする世界への挑戦が悲願だった。

それが実現した2017年、川添は国内外で年間30の大会に出場した。PBAだけではなく、日本よりはるかにレベルが高い韓国やマレーシアなどが参戦するアジアの大会にも積極的に挑戦。「10ぐらいあったアベレージの差は随分縮まったと思います」と語る川添の言葉には自信が満ちていた。

2018年2月、川添はアメリカでのPBAの公式戦「PBA設立60周年記念大会」で初めて決勝トーナメントに進出し4位に入賞した。川添の目標はあくまでも優勝なので成就とまではいかないが、前年は届かなかった決勝トーナメント進出という段階には達した。

川添の活躍によってボウリングの人気が高まれば、後に続くボウラーが増えるだろう。さまざまな競技の選手が世界で戦う時代、ボウリングもそうなってほしいと切に願う。